自動車保険の等級引継ぎは知らないと大損!他社への等級継承の期間と条件
自動車保険の等級とは、「ノンフリート等級」という割引・割増率を決める制度のことを言います。等級引継ぎの条件から外れると等級が引き継げません。
■この記事で学べること
【1】自動車保険の等級の基礎と割引率、引継ぎ条件
【2】家族や子供・夫婦間(同居・別居)の等級引継ぎ
【3】他社への引継ぎ・乗り換えと等級
【4】2台目の車と等級の引継ぎ、廃車・譲渡の等級引継ぎ
【5】自動車保険の等級を「引き継ぎたくない」はできる?
他社(損保や共済)、家族や夫婦・親子、増車や減車・廃車(中断)、個人から法人など、知らないと損する任意の自動車保険の等級引継ぎ(継承)の条件について解説します。
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この記事のもくじ
自動車保険の事故後の等級ダウンの基礎と割引率、引継ぎ(継承)の条件
自動車保険の等級とは、正式にはノンフリート等級制度といいます。毎年の事故の有無による自動車保険の利用を反映した割引や割増のランクのことです。
このランクを「等級」といいます。
ノンフリート等級(以下、等級と記載します)は1~20等級までありますが、毎年無事故でも1等級ずつしか進みません。
新規契約の際には、原則6等級から始まります。
例外として11等級以上の自動車保険契約がすでにあって、2台目の車で自動車保険の契約をするときにはセカンドカー割引適用で7等級から新規契約がはじまります。
無事故であれば翌年は7等級というように、最も割り引きの高い20等級に向けて割り引きが上がっていきます。
自動車保険の等級についての基礎知識と割引率
自動車保険の各等級ごとの割引率は下記の損保協会のサイトを参考にしてください。図表になっているので一目で分かります。
各等級の割引率もこれを基本に考えてください。
事故で保険を利用した場合の事故件数の数え方
自動車保険では、事故の内容によって等級が上がるあるいは下がります。
事故を3つの種類に分けており、それによって事故後の自動車保険を利用したの回数のカウントが変わります。
- 3等級ダウン事故(車同士の事故、自損事故で車両保険の利用など)
- 1等級ダウン事故(飛び石やいたずらなど)
- ノーカウント事故(人身傷害保険やファミリーバイク特約、弁護士費用特約のみ請求の事故など)
無事故で1等級アップしますから、原則は無事故で1等級アップ、事故ありで3等級ダウンとなります。これが基本ルールです。
15等級なら翌年は12等級になります。但し7~20等級は「事故無し等級」と「事故あり等級」の2つがあります。
同じ12等級でも15等級から3等級ダウンした人と11等級から無事故で12等級になった人はベースとなるテーブルが違います。
事故無し等級(無事故係数)と事故あり等級(事故有係数)では同じ12等級でも割引率が違います。その場合の基本ルールは下記の3つです。
- 3等級ダウン事故は、事故有係数が3年間適用
- 1等級ダウン事故は、事故有係数が1年間適用
- 複数事故があった場合、最長で事故有係数は6年間適用
等級の引継ぎを解説する前に、これがノンフリート等級制度のもとで事故があった後の等級ダウンの条件です。まずはここを押さえてください。
事故で保険を使ったらどの程度掛金は変わるのか?
等級は7等級から20等級については、「事故有係数」と「事故無係数」が使われています。
簡単な話、同じ等級でも事故のあった人となかった人で割引率が変わるということです。
■(例) 12等級 事故無係数48%引き 事故有係数 27%引き
事故有の12等級なら、3等級ダウン事故の場合、前年は15等級でした。15等級の事故無は51%引きですから、一気に24%割引が変わります。
同じ等級で比較していますが、実際に15等級で事故があったら、無事故なら無事故係数で16等級(52%引)、事故ありなら事故有係数で12等級(27%引)です。
無事故と事故有のテーブルの違いは、3等級ダウンなら3年間違います。
また無事故係数に復帰しても20等級になるまで、等級の差による割引の違いもあります。
自動車保険の継続を忘れていたときの等級の引継ぎ期間
自動車保険の更新の手続きを自分が連絡を忘れて失念していた場合、割引がなくなってしまうかというとまだ等級を引き継ぐことは可能です。
一般的に原則は満期から7日間です。この期間は等級が引継げるというだけで、事故があったら無保険ですから保険金は払われません。
原則6等級からはじまって20等級になるには14年かかります。
これが無くなるととんでもない損をします。等級の引継ぎはお金で買えるものではないのできちんと管理してください。
最近は契約者と連絡がつかないと自動的に契約を更新する自動車保険もあります。
更新する意思がないのに、自分の意思表示をしないままにしておくと継続されてしまうことがあります。
その意味では昨今の自動車保険は継続の意思について連絡がつかなければ、継続忘れで等級が飛ぶということは少なくなってきました。
しかし継続する意思がないなら、それはそれで損害保険会社に意思表示はしておきましょう。
家族や子供・夫婦間(同居・別居)、個人~法人の等級引継ぎ条件
ここから自動車保険の等級を家族などに引き継ぐ際のルールを確認しましょう。
同居・別居
ここが一番重要ですが、等級を引き継ぐことができるのは配偶者や同居の親族の間になります。
子供などの場合は別居では等級の引継ぎはできませんから要注意!です。
良くあることが親はあまり車に乗らないので、自動車保険の契約(等級)を子供に引き継がせようとするケースです。
子供が結婚して家を出て別居となれば引継ぎができません。
家族・親子・夫婦
配偶者を除く家族・親子間でも基本は上記の「同居」が要件です。
上記のように子どもが独立して家をでてから自動車保険の等級を引き継ぐかたちで渡すことはできません。
家族で複数の車を所有していることは地域によっては珍しくありません。
事実上、子供が使っている車でもローンなどの関係で名義は親になっていることは珍しくありません。
なお、夫婦間では等級の引継ぎはいつでも可能です。
忘れがちなことですが、損害保険会社や代理店では子供の結婚状況や同居や別居の事情まで逐一把握できません。
同居で家にいるうちにきちんと手続きしてください。
個人から法人への等級の引継ぎ
個人から法人へ自動車保険の等級の引継ぎができるかというと可能です。
例えば個人事業で仕事をしていて個人名で加入していた自動車保険を、個人事業の法人成りとともに会社に等級を引継ぐ場合です。
個人事業はそのままで別事業で法人を作るような場合は該当しないので、法人組織を作る際には加入先の損害保険会社に照会してください。
取り揃える書類があります。
自動車保険の等級の他社への引継ぎ・乗り換え
他の損害保険会社
損害保険会社同士はノンフリート等級について情報を共有していますから、等級の「割引」はもちろん「割増」も引継ぎます。
共済「JA共済・こくみん共済coop(全労済)など等」
損害保険会社から共済、あるいは共済から損害保険会社への等級の引き継ぎの取り扱いは可能なケースと不可能なケースがあります。
JA共済や全労済、日火連、全自共などの共済は等級の引き継ぎが可能です。
教職員共済などでは無事故・事故証明書などの取り付けを条件に等級の引き継ぎができるケースもあります。
共済については損保同士とは扱いが少し変わるケースがあるので事前によく確認してください。
例えば共済から損保に等級を引継ぐ場合、加入先の共済に等級が間違いことなどについて押印した書類などが必要になるケースもあります。
2台目の自動車保険の等級と車両入替、増車・減車時の等級引継ぎ(継承)
2台目を購入して自動車を増車、あるいは逆に廃車するので減車などをした場合に、等級をうまく利用できるケースがあります。
例えば以下のケースです。
- 増車時:新しい車に免許を取ったばかりの18歳の子どもが運転する
- 減車時:廃車にする車の方が割引率の高い等級なので残したい
上記のケースでは、増車時では、もともとある自動車保険が20等級なら、この契約に新しく増車した車を入れて(子どもが運転する車)、年齢条件が掛金が高くなる子どもに適用可能です。
それによって親が乗る年齢条件35歳などで掛金を安くできる車を、新規の自動車保険契約することが可能です。
- 18歳だと年齢条件の関係で保険料(掛金)が高い・・・割引の進んだ20等級を適用
- 元の車は年齢35歳以上の条件なので安い・・・新規契約で7等級(複数所有新規の割引で7等級から※)
※1台目の自動車保険が11等級以上
このように割引を2台の間でクロスさせることができるのです。
減車も同様で廃車にする車の契約の等級の割引率が高いなら、残す車をこの契約に入れて高い割引を維持することが可能です。
なお、増車や減車がないケースで1台目と2台目の割引を入れ替えるということはできません。
車を廃車・譲渡にした場合の等級引継ぎ(中断証明書による継承)
車を廃車にした場合、20等級の割引がパーになったら、もったいない話です。
こんなときは中断証明書を発行しておけば、10年間この割引を残しておくことができます。
一度中断した契約について、数年後にまた車に乗るときに等級を引継ぐかたちで割引を使うことができます。
但し車は譲渡や廃車にするなど条件があります。
大事な車なので売らずにナンバーを外して車庫に保管、いずれまた乗るつもりなどのケースでは中断証明書は発行されません。
自動車保険/等級の確認方法
自分の自動車保険の等級の確認は、保険証券や自動車保険の満期案内の書類に記載されています。
これらが見当たらない場合は、契約している損害保険会社や共済のカスタマーセンターや担当代理店などに電話すれば教えてくれます。
自動車保険の等級を「引き継ぎたくない」はできる?
等級を引継ぎたくないケースとは?
自動車保険の等級の引き継ぎについての記事ですが、なかには引き継ぎしたくないケースもあるでしょう。
具体的には事故で保険を利用して、等級ダウンしている場合です。
例えば1等級は「64%割増」です。
ダイレクト系では引き受けをしないケースがほとんどでしょうし、代理店販売でも事前申請やかなり条件をつけられます。
1等級は極端ですが、事故で自動車保険の等級が割増の人は、等級を引継ぎしないで新規で契約したいというのが本音でしょう。
自動車保険の等級を引継がないはできる?
等級を引き継ぎたくないときに、引き継がないことができるかというとできません。
他の損保の割引の進んだ等級を持っていけるように、割増も持っていくのがルールです。
自分に都合のいい方は適用、悪いものはいらないというのは通りません。
これについては生命保険の契約で病歴があるのに黙って契約するのと同じことと考えてください。
ちなみに名義を配偶者や他の同居の家族に変えたり、住所や電話番号を変えても、等級の引継ぎは複数の情報をマッチングさせます。
契約時点では分からないでしょうが、後から必ず分かります。
印象が悪くなるだけでので、自動車保険の等級について事故の有無をきちんと申告してください。
自動車保険の等級のデータはどのくらいの期間で消える?
後は満期などから13ヶ月経過すれば、改めて新規で6等級での契約が可能です。
嘘をつくなら13ヶ月待って車に乗らない、それができないなら素直に割増のつくかたちで契約するが基本です。
まとめ
自動車保険の新規契約は通常6等級から始まりますから20等級(63%引き)となるまでに一度も事故がなかったとしても14年かかります。
お金で買えるものではありませんから、家族や子どもに割引の進んだ等級を渡せるなら、渡しておきたいですね。
自動車保険を安くするのに、無事故を続けることが一番ですが、うまく自動車保険の等級の引き継ぎができるようにルールを確認しておいてください。
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