【自動車保険の車両新価特約】必要性と使えなくなったときの対処法
自動車保険には、車両保険に付帯する「車両新価特約」があります。付帯は期間限定ですが、特に車両価格が高額な車では必要性が高い特約です。
■この記事で学べること
【1】自動車保険の車両新価特約とは?
【2】車両新価特約は使えない?
【3】車両新価特約が使えなくなるまでに対処すること
【4】よくある質問(必要性・残クレ・中古車)
【5】車両新価特約が使えなくなったときの新たな動き
自動車保険に付帯できる車両新価特約についてファイナンシャルプランナーがそのポイントについて解説します。
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この記事のもくじ
自動車保険の車両新価特約とは?
自動車保険の車両新価特約とは?
自動車保険の車両新価特約とは、車が次の状態になったときに、自動車の再取得費用(車両本体価格+付属品+消費税)や修理費を新車価格相当額を限度支払う特約です。
- 全損になった場合
- 修理費が新車価格相当額の50%以上(※)となった場合
※内外装・外板部品以外の部分に著しい損傷が生じた場合に限る。
なお、この特約を付帯できるのは、一般的に新車のとき(その車の初度登録年月日)から61ヶ月以内の車が対象です(保険会社によって異なることがあります)。
車両保険と車両新価特約の違い
車両保険は自動車保険の主要な補償の一つです。自動車保険の保障は大きく分けると次の4つがあります。
- 賠償(対人賠償保険、対物賠償保険)
- 傷害(人身傷害補償保険、搭乗者傷害保険など)
- 車両保険
- その他(各種特約)
車両保険を付帯していない場合、自動車保険に契約している車両損害の補償はありません。
車両保険がなければ契約車両の損害はカバーされないので、車両新価特約もつけることはできないということになります。
車両保険と車両新価特約の違いはというと、自分の車の損害を補償するのは車両保険、それを拡充する補償の一つが車両新価特約です。
車両保険は事故の際、その車の時価を上限にしか補償されません。新価特約を付帯すると特約の付帯できる間は、新車購入時の価格まで補償されます。
※損害保険会社で多少この特約の名称や内容が異なることがあります。
車両新車特約がなければ車両金額は時価設定
車両保険で設定される契約車両金額は、通常は時価で設定されます。
仮に200万円で購入した新車でも翌年以降は、所定の割合で減価した金額が車両保険金額となります。
新車時に200万円した自動車が、例えば5年ほど経過して現在の車両保険金額の時価設定が120万円ほどだったとします。
事故による車の修理費が120万円を超える場合、この車は全損となります。
使い方にもよりますが、最近は車を長く乗る人も珍しくありません。まだまだこの車に乗ろうと思っていても120万円では修理費が不足します。
また買い替えを検討するにしても、200万円で購入した金額からはほど遠いということになってしまいます。
車両新価特約の加入率は?
残念ながら日本損害保険協会など業界団体から、自動車保険の車両新価特約の加入率はでていません。
但し、セゾン自動車火災保険がこの特約の自社の加入率を公表しています。
- 車両新価特約の加入率:5.3%(セゾン自動車火災保険 2022年3月時点)
出典:セゾン自動車火災保険 車両新価特約
参考までに車両保険の加入率は公表されています。
- 車両保険の加入率:46.2%(2021年3月末) 出典:損害保険料率算出機構「自動車保険の概況」より
元になる車両保険がこの加入率なので、車両新価特約は当然これよりも低い数字になります。
車両保険の加入率は、年々少しずつですが上がっています。
取り扱い損保
車両新価特約は、自動車保険を取り扱う損保であれば、どこでも用意されている特約と考えてください。
念のため取り扱い損保や共済を列挙しておきます。
■代理店型
東京海上日動、損保ジャパン、三井住友海上、あいおいニッセイ同和損保、AIG損保、日新火災など
■ネット型
ソニー損保、チューリッヒ、イーデザイン損保、三井ダイレクト、アクサダイレクト、セゾン自動車火災、SBI損保、楽天損保など
■共済
JA共済など
JA共済のような自動車共済でも取り扱いがあるので、一般的にはどこでも取り扱いがあると考えてください。
車両新価特約が使えない?
この特約も自動車保険の補償の一つです。そのため適用条件に該当しなければ利用することができません。
- 全損になった場合
- 修理費が新車価格相当額の50%以上となった場合
先に解説したように、通常はこれらの要件を満たしていなければ車両新価特約は使えません。
後は一般的に初度登録時から5年までしか特約が付けられないため、それ以降は新価特約は使えなくなりますので注意してください。
車の使用頻度や消耗具合はそれぞれ異なります。
5年を過ぎても新しいと感じる車もありますが、現状で新価特約は期間限定なのです。
車両新価特約が使えなくなるまでに対処すること
車両新価特約は利用できる期間が決まっています。そのため所定の期間を過ぎると付帯することができません。
一方、車を長く利用する人は増えています。初度登録日から61ヶ月を超えても使うことは珍しくありませんし、利用頻度によってはまだまだ新しいケースもあります。
車両新価特約がなくても車両保険は引き続き必要と考える人もいるでしょう。
そのときまでにできれば契約先の損保と相談してやっておきたいことがあります。
それは契約する「車両保険金額」の調整です。
車両保険を付帯する場合、車両金額が決められますが、その車の型式や年式などから一定の幅で決められています。
所定の比率で減価していくことはお伝えしたとおりですが調整は可能です。
金額が幅で決められますから、上限で車両金額が設定されていなければ引き上げることができる余地があります。
加入先の損保や代理店と相談して可能であれば、車両金額の引き上げを相談してください。
車種や契約内容などで違いはあるものの、車両保険金額を10万円引き上げたからといって、保険料が数千円も変わるわけではありません。
ほとんど変わらないケースもあります。
金額を引き上げておくと、金額が減少していくのを遅くすることができますから、一度検討してみてください。
よくある質問
ここでは車両新価特約について、よくある質問・疑問についてみておきましょう。
車両新価特約の必要性
購入する車によりますが、新車を購入する場合、自動運転技術の導入などで昔よりも同じグレードの価格は高くなっています。
また車のあちこにセンサーが配置されているため、そうした箇所が破損すると事故の際の修理代も高くなりがちです。
そのような点を考慮すると新車あるいは車両価格の高い車を購入する人は、車両保険はもちろん車両新価特約の必要性が高いと考えてください。
逆に車両金額次第では、新価特約はいらないという判断をする人もいるでしょう。
残価クレジットの場合
将来(数年後)のその車の買取保証額を残価として設定、その分だけ安く自動車を購入できるのが残価設定クレジット・残価設定ローンです。
略して「残クレ」と呼ばれています。
車の将来価値を見越して安く購入できますが、事故などで全損などした場合、保証されていた価値が下がりますし、ローンの一括返済を求められることがあります。
購入資金に余裕があれば、残クレを利用することは少ないでしょう。
残クレを利用して車を購入している人は、車両保険や新価特約を検討しておきましょう。
中古車購入の場合
中古車を購入した場合でも初度登録からそんなに年数が経過していないこともあります。
細かい規定は損保ごとに違いますが、中古車でも車両新価特約については初度登録から61ヶ月を目安に考えておくといいでしょう。
車両新価特約が使えなくなったときの新たな動き
車両新価特約が使えなくなる前に車両保険金額の毎年の設定を相談しておきましょうという話をしました。
他に新たな動きがでてきています。
2022年1月から東京海上日動が、「車両全損時復旧費用補償特約」の提供をはじめています。
これは新車購入から所定の期間過ぎて、車両新価特約を付帯できない人向けに、時価額を上回る補償の付帯を可能にするものです。
費用限度額が設定されていますし、決して万能ではありませんが、選択肢の一つとして覚えておいてください。
【参考】
東京海上日動 自動車保険 お車の補償に関するその他の特約
まとめ
【自動車保険の車両新価特約】必要性と使えなくなったときの対処法、についていかがでしたか。
車の価格や修理代も上がっているため、さまざまな対処が必要です。
方法は限られますが、車両金額の調整や新たな補償の付帯など、もしものときに困らないように対策を取っておいてください。
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