【準確定申告が不要な場合】相続発生による所得税の準確定申告とは?
亡くなった人がいると期限までに申告が必要で、これが相続における所得税の準確定申告です。必要な人と不要な人がいます。
■この記事で学べること
【1】相続における準確定申告が不要な人
【2】所得税の準確定申告とは?
【3】準確定申告と電子申告(e-TAX)
あまり知られていませんが、相続発生に伴い必要になることのある所得税の準確定申告について解説します。
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この記事のもくじ
相続における準確定申告が不要な場合、不要な人
【結論】
準確定申告が不要な場合や不要な人は、主に次に該当するケースです。
- 勤務先の企業で年末調整している
- 1年間に受け取る年金が400万円以下、その他の収入20万円以下
具体的にみてみましょう。
勤務先で年末調整している
給与所得(但し、1カ所の企業から)の会社員などが該当します。
給与所得以外の所得がなくて、勤務先企業が年末調整してくれるケースでは準確定申告が不要です。
イメージとしては通常の確定申告の必要がない人と考えてください。
年金受給が年間400万円以下、その他収入20万円以下
国民年金および厚生年金という公的年金の年間受給額が400万円以下、かつその他の収入が20万円に満たない場合には準確定申告が不要な人です。
但し、他に医療費控除、生命保険料控除などの控除を使いたい場合には、準確定申告を行った方がよいということになります。
準確定申告が必要な不要かは、一般的に確定申告が必要な人、不要な人の考え方のイメージを持っておくといいでしょう。
所得税の準確定申告とは?
所得税の準確定申告とその期限
所得税は毎年1/1~12/31までの1年間に生じた所得についての税金(税額)を算出して翌年の2/16~3/15までの間に申告・納税をするのが原則です。
しかし年の途中で死亡した人の場合、その本人(被相続人)が確定申告することができません。
そのため相続人が、その年の1/1日から死亡した日までに確定した所得金額と税額を計算することになります。
相続人は前年分・本年分とも相続の開始があったことを知った日の翌日から4ヶ月以内にその申告・納税をしなければなりません。
これが所得税の「準確定申告」です。
死亡によって発生し、相続にも関係するため相続税の確定申告と勘違いしている人がいますが、相続税ではなく死亡した人の所得税の確定申告です。
なお、被相続人が死亡の時点で納付しなければならないことが確定している税金は相続財産から控除することが可能です。
そのため被相続人の死亡した年の所得についての所得税の準確定申告によって納める税金は相続税の債務控除の対象となります。
相続人等が2人以上いる場合の準確定申告
相続人などが2人以上いる場合、各相続人等が連署して準確定申告書を提出します。この場合でも他の相続人等の氏名を付記して各人が別々に提出することも可能です。
当該申告書を提出した相続人等は他の相続人等に申告した内容を通知しなければなりません。
準確定申告における所得控除の適用と還付金
医療費控除や社会保険料、生命保険料、地震保険料控除等の対象となるのは、死亡の日までに被相続人が支払った医療費や保険料等です。なお死亡後に負担した分は対象となりません。
これらの所得控除を準確定申告をして適用することで還付金を得られる可能性があります。
まずは前年に確定申告をしていたかなどを確認してみてください。
配偶者控除や扶養控除等の適用の判断は、死亡の日の現況で行われます。
準確定申告と電子申告(e-Tax)
通常の確定申告について電子申告を推進しているのと同様に、準確定申告においても電子申告への対応がはじまっています。
所得税の準確定申告と電子申告
2020年分(令和2年分)以降の所得税の準確定申告について、e-Taxでの電子申告に対応可能です。
*令和2年1月6日以降に提出される令和2年分以後の所得税の準確定申告書
但し、国税庁ホームページにある確定申告書等作成コーナーから所得税の準確定申告書の作成をすることができません。
そのためe-Taxソフト等を使う必要があります。
準確定申告における電子申告と添付書類・提出書類等
準確定申告の電子申告についての提出書類等は次のとおりです。所得の種類等によって、その他の書類の提出が必要となる場合もあります。
- 所得税及び復興特別所得税の準確定申告書
- 死亡した者の令和_年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告書付表
- 準確定申告の確認書(PDF)
- 委任状(PDF)
提出方法について上の2つがe-Tax(XML形式)、下の2つがe-Tax(PDF形式)となります。
「1」の準確定申告書をe-Taxで提出する場合、相続人が1名の場合でも必ず「2」の付表をe-Tax(XML形式)で提出しなければなりません。
また相続人が2名以上いる場合、各相続人が申告内容等を確認し署名した上で、「3」の確認書のイメージデータ(PDF形式)を作成してe-Taxで送信します。
相続人が2名以上いるケースで相続人の代表がその他の相続人が受け取るべき還付金を代表して受け取る場合、各相続人が署名した「4」の委任状を提出します。
準確定申告のe-Tax送信での使用ID(利用者識別番号)・電子証明書
- 申告者が相続人代表
利用者識別番号:相続人代表のID(1名分のみ)、添付の電子証明書:相続人代表の電子証明書(1名分のみ)
- 申告者が税理士(代理送信)
利用者識別番号:税理士のIDと相続人代表のID(1名分のみ)、添付の電子証明書 税理士の電子証明書と相続人代表の電子証明書(省略可)
まとめ
確定申告に慣れない人も多いでしょうが、準確定申告になるとなおさらです。
相続の開始があったことを知った日の翌日から4ヶ月以内という期限があるものの、身内が亡くなっているわけですから4ヶ月くらいはあっという間です。
相続が起きたならその後遺産分割や相続税の納税などの手続きもあります。
普段から相談している税理士さんでもいればいいのですが、相続(税)の各手続きに期限が決まっていますから、その点を考慮して進めてください。
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