【住民税の普通徴収と特別徴収】特別徴収から普通徴収にしたいなら切替可?
住民税の納付方法には、「普通徴収」と「特別徴収」があります。副業している人は、会社に分からないように普通徴収への切替をしたいと考える人もいるでしょう。
■この記事で学べること
【1】住民税の基礎知識
【2】「普通徴収」「特別徴収」とは?
【3】特別徴収から普通徴収への切替
【4】住民税の併徴とは?
【5】2021年度より住民税の基礎控除43万円
住民税の納付方法である普通徴収と特別徴収について、その注意点やポイントについて解説します。
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この記事のもくじ
住民税の基礎知識と「普通徴収」と「特別徴収」とは?
住民税はその人の収入や住んでいる地域によって税額が変わります。都道府県民税と市町村民税を合わせたものがいわゆる住民税です。
住民税の基礎知識
所得税は国税、つまり国に納める税金ですが住民税は地方税です。そのため住民税は各都道府県や市町村などの地方自治体に納めます。
個人住民税は前年の所得をベースに翌年度に課税する仕組みです(所得税は所得の発生したその年に課税)。
就職したばかりの新入社員に住民税の課税がなく、2年目から課税がはじまり手取りが変わるのはそのためです。
このような住民税の基本を踏まえた上で、住民税の「普通徴収」と「特別徴収」を確認しましょう。
住民税の普通徴収とは?
住民税の普通徴収とは、その税額や納期、納付場所などを記載した「納税通知書を当該納税者に交付」することによって地方税を徴収する方法をいいます。
住民税を納めてくださいという「納税通知書」が送られてくるのでその通知書で納付します。
自動車を持っている人は、毎年5月に納税通知書が届きますがこれと同じです。
勤めている人は給与天引きが普通と考えがちですが、納税通知書による徴収が普通徴収なのです。
普通徴収の納付は、年4回(6月、8月、11月、1月)です。月末が土日などの場合には翌月の1日などになるケースもあります。
住民税の特別徴収とは?
納税通知書で納付する普通徴収に対して、給与所得者(会社員や公務員など)の住民税は、原則として毎月の給与から天引きされます。
給与天引きによって事業主(勤務先)が従業員に代わり住民税を納付する制度が住民税の「特別徴収」です。
普通徴収が年4回の納付であるのに対して特別徴収は、給与天引きによる12回での支払いです。
納税の開始は普通徴収と同じように6月からはじまり翌年の5月までの12カ月です。
1回当たりの納付額の負担が少ないのと、住民税の納付を忘れることがないことが特徴です。
なお、所得税の源泉徴収義務がある事業主(勤務先)は、特別徴収義務者として個人住民税を特別徴収することが義務付けられています(地方税法第321条の5)。
もちろん例外もあるので、次の理由に該当する場合は普通徴収にすることができます。
事業所の総従業員数が2人以下(他の区市町村を含む事業所全体の受給者の人数で、以下の理由に該当して普通徴収とする対象者を除いた従業員数)
- 他の事業所で特別徴収
- 給与が少なく税額が引けない。
- 給与の支払が不定期(例:給与の支払が毎月でない。)
- 事業専従者(個人事業主のみ対象)
- 退職者又は退職予定者(5月末日まで)(休職等により4月1日現在で給与の支払を受けていない者を含む)
給与所得者は、原則として特別徴収といいましたが、これらがその例外です。
特別徴収から普通徴収にしたい場合、住民税の併徴とは?
特別徴収から普通徴収に切替したい場合に可能か?
副業をしている人などは、住民税の税額が勤務先に届くと副業していることが分かってしまうので、普通徴収に切り替えたいと考えている人が多いでしょう。
前提としてここまで解説したように、会社員や公務員などの給与所得者については勤務先で特別徴収することが義務付けられています。
特別徴収から普通徴収への切替などを希望する人の多くは、勤務先からの給与所得以外に何等かの所得がある人がほとんどでしょう。
住民税は特別徴収あるいは普通徴収のいずれかの選択のみでなく「併徴」することもできるのです。
住民税の併徴とは?
住民税の併徴とは、特別徴収と普通徴収をそれぞれ併用して税金を納付する方法です。
併徴による住民税の納付をすると、会社員や公務員などの給与所得者が給与所得以外に他の所得がある場合、給与以外の所得を普通徴収で納付することができます。
住民税の併徴の手続きについては、確定申告する人は確定申告書の該当欄に記入、そうでない人は区民税・市民税・県民税の申告書を提出します。
注意点として給与以外の所得といっても、色々な所得(別な会社で給与、不動産所得、他で個人事業など)があります。
またその地域の行政によってここではこうした対応していますという行政ごとの対応があることです。
併徴を希望するならできれば一度、自分の所轄の地域の行政に問い合わせをして確認することをおすすめします。
市役所や区役所などに個人住民税に関する部署があります。
一般的に匿名で質問しても普通に答えてくれますので、自分の場合にどのようになるのか個別に聞いてみてください。
なお、会社員など給与所得者が個別に事業をしている場合、どんな方法を取っても勤務先に分かる可能性は常にあると考えてください。
2021年度(令和3年度)住民税改正
働き方改革に対する観点や高所得者に対する税負担の軽減効果の必要性(年齢を問わず負担できる人に負担してもらう)などから基礎控除について見直しが実施されています。
住民税の基礎控除が2021年度(令和3年度)から10万円引き上げ、さらに合計所得金額が2400万円超の場合は3段階で逓減し、2500万円を超える場合は適用外となります。
【住民税の基礎控除 改正後】
- 合計所得金額2,400万円以下:基礎控除43万円
- 合計所得金額2,400万円超2,450万円以下:基礎控除29万円
- 合計所得金額2,450万円超2,500万円以下:基礎控除15万円
- 合計所得金額2,500万円超:基礎控除0円
改正前での住民税の基礎控除は一律33万円でしたが、合計所得金額によって段階的に変わり、高所得者についてはゼロになります。
まとめ
【住民税の普通徴収と特別徴収】特別徴収から普通徴収にしたいなら切替可?、についていかがでしたか。
給与所得者の場合には、事業主(勤務先)に対して特別徴収が義務付けられるかたちになっています。
これは一定の周知期間を経て2017年度から原則として全事業主に特別徴収義務者の指定を実施していることによるものです。
また住民税は翌年に課税される税金です。所得が出来高などで物凄く所得が増えた翌年に激減したり、失業したり退職したりすると翌年の住民税の支払いに苦しみます。
特に会社員などの人で、失業状態にあると住民税の納税通知書で驚く人も少なくありません。
住民税納付の仕組みを理解して、家計管理するようにしてください。
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