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所得金額調整控除が2020年から創設!税制改正の人的事情の配慮とは?

所得金額調整控除とは?
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所得金額調整控除が2020年から創設されました。この税制改正では個人所得課税の見直しが大きな柱です。

■この記事で学べること

【1】所得金額調整控除とは?

【2】所得金額調整控除は適用される時期と条件

【3】夫婦ともに所得金額調整控除を適用できる

2020年から大きく変わる所得税の各種控除と個別な事情を配慮するための「所得金額調整控除」について解説します。

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所得金額調整控除とは?

所得金額調整控除とは?

2020年から所得税の「給与所得控除」や「公的年金等控除」、「基礎控除」が改正されています。

基礎控除などすべての人に関係する控除は上限が設けられるものの、負担を軽くするかたちに変わります。

逆に給与所得控除(勤めの人が対象)、公的年金等控除(年金受給者)など特定の人を対象にするもので所得の高い人は負担が重くなります。

具体的には給与所得控除は改正により給与収入850万円超の場合には実質的な負担増となります。

所得金額調整控除とは、こうした給与収入が850万円超の人の負担増を緩和するために新たに設けられた制度です。

一部の人については個別な事情を配慮して調整しましょうということです。

2018年(平成30年)税制改正


2018年(平成30年)の税制改正では、今後の個人所得課税について3つの観点が重要であることを述べています。

  • 人的な事情の配慮
  • 多様な働き方の自由な選択
  • 所得再分配機能の回復

こうした観点から給与所得控除などの所得の種類に応じた控除と、基礎控除などの人的控除のあり方を全体として見直ししたのがこの税制改正です。

基礎控除を引上げ(減税)したことに加えて、給与所得控除や公的年金等控除については使える上限を引下げ(増税)しました。

但し基礎控除についても一定の収入以上はゼロになります。

上記の図は所得税を計算する際の主な流れを簡略化した図です。箱の黄色の部分が減るほど、そこに税率を掛けて計算するので税金の負担が軽くなります。

赤いところの各種「控除」が増えるといいわけです

この流れにあるようなこれらの控除があることで所得税が軽減されていますが、控除額が減ると税金の負担が増えます。

これらの控除の金額を改正したことは、先ほどの3つの観点の多様な働き方の自由な選択や所得再分配機能の回復に関連することです。

例えば会社員でも人的な事情な配慮が必要なケースもあるのです。

その部分は所得金額調整控除の適用条件を見ればわかります。2つのパターンにわけてみてみましょう。

関連記事にある給与所得控除の記事のタイトルにあるように、会社員などで収入金額850万円超では増税になります。

これを前提に所得金額調整控除の適用を例を挙げてみています。

所得金額調整控除の適用条件と計算

具体的に所得金額調整控除の適用条件と計算についてみていきましょう。

パターン1

給与所得控除の収入金額が850万円超で次のいずれかの該当する人

  • 特別障害者に該当する人
  • 年齢23歳未満の扶養親族がいる人
  • 特別障害者である同一生計配偶者または扶養親族がいる人

該当する場合、総所得金額の計算について以下の金額について控除することができます(所得金額調整控除)。

給与所得の金額から、

(給与等の収入金額(※)-850万円)×10% が控除  ※1,000万円が限度

【計算例】1,000万円が上限なので給与収入金額を1,000万円とした場合

(1,000万円-850万円)×10%=15万円(所得金額調整控除の額)

パターン2

給与所得及び公的年金等に係わる雑所得がある人で、その合計額が10万円超

該当する場合、総所得金額の計算について以下の金額を控除することができます(所得金額調整控除)。

給与所得の金額から、(給与所得控除後の給与等の金額(※)+公的年金等に係わる雑所得の金額(※))-10万円 が控除

※10万円が限度

【計算例】それぞれ10万円が限度なので10万円とする

(10万円+10万円)-10万円=10万円(所得金額調整控除の額)

パターン1については介護や子育てが必要な人なのであれば、それなりに収入のある人にも配慮するということです。

2については給与所得控除と公的年金等控除が引下げられており、基礎控除の引上げと差し引きしても負担が大きいことから所得金額調整控除をもって調整するということです。

2020年から所得金額調整控除は適用

2020年から所得金額調整控除が適用

所得金額調整控除は2018年(平成30年)の税制改正で実施が決まりました。

具体的な実施時期は2020年分の所得税、2021年分の住民税からとなります。

夫婦共働きなら両方とも所得金額調整控除が適用

夫婦共働きなら両方とも所得金額調整控除が適用

所得金額調整控除の適用要件に該当しており、夫婦の共働きでともに収入金額が850万円を超える場合があります。

このようなときは夫婦ともに所得金額調整控除同控除の適用をすることが可能です。

扶養控除と混同してどちらか一方などと考える人がいるようですが分けて考えてください。

まとめ

所得金額調整控除が2020年から創設!税制改正の人的事情の配慮とは? についていかがでしたか。

実施時期が分かっていることですし、家庭内での所得や扶養は把握できているでしょう。

まずは自分の場合はどのようになるかざっくりとイメージすることが大切です。

個人所得の税金については増税になる人、減税になる人それぞれでしょうが、動きは見えていることですから慌てずにじっくり対策を取ってください。

家族構成や収入にもよりますが、2018年~2020年改正への動きとして「配偶者控除・配偶者特別控除」「給与所得控除」「公的年金等控除」「基礎控除」の改正の動きがポイントです。

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ライター紹介 ライター一覧

平野 敦之

平野 敦之

ひらの あつし

平野FP事務所代表。(CFP ®・1級FP技能士・宅地建物取引士・2級DCプランナー・住宅ローンアドバイザー)。東京都出身。大学卒業後に証券会社、損害保険会社等で実務を経験した後1998年に独立。

・個人のライフプラン、お金の悩みやお困りごとのサポート。
・法人の経営者のお金の悩み、営業を支援。

ファイナンシャルプランナー歴20年以上。相談業務の他TVやラジオ、新聞、雑誌など直近の10年間で200回以上の取材を受ける。同業であるファイナンシャルプランナーに対しても情報提供の執筆や講演を行う。

講演・セミナー活動も大学での非常勤講師や国民生活センターや行政機関、大手企業や団体など幅広い実績を持つ。総合情報サイトAll Aboutにて2003年よりマネーガイドを務め、15年以上に渡り定期的にマネー情報の発信を実施。その他の媒体も含めてWEB上での執筆記事は600本以上。

「お金の当たり前を、当たり前に。」するために、現場の相談を中心業務と考え活動を続ける。

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