【財形貯蓄】引き出しや解約の税金や手数料、期間制限の注意点
財形貯蓄制度の資金の引き出しや解約は、税金や手数料がかかることがあるので注意しなければなりません。
■この記事で学べること
【1】財形貯蓄の引き出し・解約のポイント
【2】目的外での払出しの非課税特例
【3】退職・転職、育休時の財形貯蓄
【4】解約の受付日・窓口、着金日数
【5】デメリットもある引き出し・解約
財形貯蓄制度の資金の引き出しや解約期間の注意点、そのデメリットについてファイナンシャルプランナーがまとめます。
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この記事のもくじ
財形貯蓄の引き出し・解約方法と解約の期間、かかる税金と手数料
財形貯蓄も長い貯蓄期間には、お金が必要になって引き出ししたり、勤務先を退職したりして解約せざるを得ないケースがあります。
ここでは財形貯蓄のおろし方にかかる条件などについて確認していきます。
所定の期間制限や目的外の引き出しや解約にペナルティがあるので注意が必要です。
改めて確認ですが、財形貯蓄には次の3つがあります。
- 一般財形貯蓄
- 住宅財形貯蓄
- 年金財形貯蓄
上記の3種類の財形貯蓄ごとの引き出し・解約について、その詳細(方法、期間、税金、手数料など)をチェックしていきます。
一般財形貯蓄の引き出し方法と解約、税金
一般財形貯蓄には、次のような要件があります。
- 積立期間は3年以上
- 1年以内は引き出し不可
一般財形貯蓄のお金の引き出しはいつでも可能になっているものの、さらに勤務先の企業で社内規定などが設けられていることがあります。
例えば支払日が指定されているようなケースです。
特に解約を急いでいる場合などは、引き出しを受け付けする時期なども含めて勤務先に確認・相談してください。
なお一般財形貯蓄は、目的外の払い出しにペナルティはありません。
もともと一般財形貯蓄に決まった目的がないのと、非課税限度額などの優遇された措置がないからです。
この点は気にする必要はありません。
一般財形貯蓄では、貯蓄残高の一部または全部の引き出し、解約は可能です。
税金の取扱いですが銀行預金では、利息に20%+復興特別所得税が20.315%(国税15.315%、地方税5%)かかります。
一般財形貯蓄でも税金の取扱いは同様です。
住宅財形貯蓄の引き出し方法と解約、税金
住宅財形貯蓄は、住宅取得を目的として次のような一定の要件が設けられています。
- 55歳未満の勤労者
- 住宅財形貯蓄は1人1契約
- 積立期間を5年以上
目的外の引き出しや解約の取扱い
住宅財形貯蓄とこの後説明する年金財形貯蓄は、合算して元本550万円までの利子は非課税です。
まずは前提としてここを押さえてください。
住宅財形貯蓄では、目的外のお金の引き出しをすると非課税の特典が直近の5年間の分はなくなります。
非課税限度額で受け取った利息分にも税金がかかります。
目的外の払い出しをすると、非課税のメリットが消えるので気をつけてください。
5年以内に引き出しをしたら?
住宅の取得のためであれば5年以内であったとしても、貯蓄してきたお金の引き出しは可能です。
これは住宅の取得や購入は、時期などを決めていても必ずしもその時に住宅取得ができると限らないためです。
年金財形貯蓄の引き出し方法(おろし方)と解約、税金
年金財形貯蓄は、住宅財形同様に次のような一定の要件が設けられています。
- 55歳未満の勤労者
- 住宅財形貯蓄はは1人1契約
- 積立期間を5年以上
目的外の引き出しや解約の取扱い
将来の年金支払いが目的の財形貯蓄です。
そのため年金財形貯蓄における目的外の引き出し・解約は、解約利子の課税+過去5年間遡及して税金がかかります。
年金支払開始から5年経過後の目的外の引き出し・解約は、解約利子のみが税金がかかります。
加入要件などは住宅財形貯蓄と変わりませんが、引き出しや解約するときの条件は少し違いますので注意してください。
病気の治療費のための引き出し、解約
病気の治療費のためなどやむ得ない事情があるケースでは、解約時の利子のみ税金がかかります。
目的外の引き出し、解約に変わりはないからです。但し過去5年、遡及して税金は取られません。
財形を目的外で払出しする際の非課税特例
住宅財形貯蓄・年金財形貯蓄は目的外で払い出す際、利子などに税金がかかります。
しかし非課税で払出しできる特例があり、2017年4月の引出し分から要件が拡充されています。
目的外の払出し改正後
対象:財形年金貯蓄及び財形住宅貯蓄
- 本人または生計を一にする親族が所有する家屋が災害等による被害を受けた場合
- 本人または生計を一にする親族に対して支払った医療費の年間合計額が200万円を超えた場合
- 本人が所得税法上の一定の寡婦又は寡夫に該当することとなった場合
- 本人が所得税法上の特別障害者に該当することとなった場合
- 本人が雇用保険の特定受給資格者または特定理由離職者に該当することとなった場合
何でも目的外の払出しができるわけではありませんが、拡充前よりも使い勝手が良くなりました。
手続き方法
本人の住所地の税務署から確認を受けます(上記に該当する理由が発生した日から11ヶ月以内に確認を受けるための申出が必要)。
その理由が発生日から1年以内に払出しをする必要があります。
なお、税務署の確認については、所定の様式の書類と該当理由を証明する書類が必要です。
退職・転職、育休での財形貯蓄の取り扱い
退職・転職
引き出しや解約で一般的にありがちなことが、会社の退職や転職に伴うケースでしょう。
前提として会社を退職して再就職しても転職先に財形貯蓄制度があれば、一般・住宅・年金とも変更届等の提出で継続が可能です。
再就職しないあるいは再就職しても次の会社に制度がなければ、財形貯蓄は解約、お金は引き出しすることになります。
単純に退職による解約・引き出しであれば、目的外での引き出しになります。
住宅財形や年金財形の場合、一定期間を過ぎると課税される取り扱いとなります。
退職するときというよりは、退職が決まったなら財形貯蓄がどのような扱いになるか勤務先に確認してください。
なお、役員になったときも同様の取り扱いです。
育児休業
一般財形貯蓄
育児休業期間中でも積立して継続することができます。但し、賃金の支払いがないと積立は中断されます。
財形年金貯蓄、財形住宅貯蓄
育児休業等の開始前に手続きをしてその終了後、所定の日に積立を再開することで、非課税の積立が継続可能です。
財形貯蓄の引き出し・解約の受付期間、解約方法・窓口
受付期間・受付日
財形貯蓄を解約・引き出す受付期間や受付日はポイントになるので覚えておいてください。
なぜなら会社によって財形貯蓄のお金を引き出しする際の受付期間(及び時間)やお金の引き出し日(払い出し日)が決まっていることがあります。
前項の内容を少々被りますが急に資金が必要なときに間に合わないと困ります。
一度勤務先の会社に確認しておくといいでしょう。
また転職した際など前の会社のルールが転職先の会社の財形貯蓄の解約・引き出しのルールと同じとは限りませんから注意してください。
受付の窓口
勤務先が窓口になることもありますが、金融機関でも可能です。銀行などの金融機関によります。
電話やWebで直接取扱の金融機関に申し込める場合もあります。
受付日と同様に窓口も統一されているわけではありませんから、事前に確認しておくと急ぐ際には便利です。
財形を引き出しすると着金まで日数はどのくらい?
財形貯蓄を引き出す、おろすのはお金が必要なときですから、いつ入金されるのか気になります。
一般的に金融機関が書類を受け付けて不備などがなければ、3~5営業日程度みれば着金されます。
タイミングによっては土日を挟むので1週間程度みておけばいいでしょう。
入金を急ぐときには年末や連休などがあるときなどに注意してください。
但し次項でも解説していますが、引き出しや解約の受付方法などは勤務先によって色々です。
引き出しの書類を会社に提出したけれど、金融機関に郵送しているなどだともっと時間がかかったりします。
入金を急ぐようなら財形の引き出し方・おろし方も早く手続きできる方法を取った方がいいケースもあります(金融機関に直接手続きするなど)。
財形貯蓄のデメリットになることもある引き出し・解約
財形貯蓄をはじめるにあたり、引き出し・解約する期間に制限があることを覚えておいてください。
特に住宅財形貯蓄や年金財形貯蓄など目的が決まっているケースは注意が必要です。
日々の生活は考えてもいないことが、次々に起こります。今は財形貯蓄ができても将来それが難しくなることもあり得ます。
転職や退職した場合、次の勤務先に財形貯蓄制度があるかによって継続できるかどうかも変わります。
変更があるのは当然として、将来のキャリアプラン、ライフプランをしっかりつくりましょう。
まとめ
財形貯蓄の引き出しや解約の際に税金や手数料、期間制限のポイント、についていかがでしたか。
財形貯蓄はうまくメリットを活かせばお金を貯めやすい制度です。同時に資金の引き出しや解約の期間や税金・手数料の取扱いをチェックしておきましょう。
※繰り返しになりますが、財形貯蓄の資金の引き出し・解約の際には必ず詳細の確認をするようにしてください。
勤務先や金融機関ごとに引き出しや解約に関する規約を設けているケースもあります。
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