【年金未納】国民年金未払いで差し押さえ!デメリットと未納分の支払い方法
公的年金(国民年金・厚生年金)への加入は義務ですが、将来の年金がもらえない、払い損かもしれないなどの理由で掛金(保険料)を未納にする人がいます。
■この記事で学べること
【1】国民年金の未納率は?
【2】年金未納・未払いのデメリットとは?
【3】年金未納の影響(住宅ローンなど)
【4】国民年金未納の時効と追納期間
【5】年金未納を支払う方法
公的年金(国民年金など)の未納についてポイントをまとめてファイナンシャルプランナーがご紹介します。
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この記事のもくじ
国民年金の未納率は?その割合のホントのところ
公的年金(国民年金、厚生年金)への加入と掛金(保険料)の支払いは、納税と同じように国民の義務であるとお話しました。
将来の年金がもらえるのかどうかは別の記事もあるのでそちらも参考にしてほしいのですが、ニュースにもなる年金の未納率がどのくらいあるかみておきましょう。
国民年金の未納率
厚生労働省が国民年金の未納率について統計を発表しています。先にここ数年の国民年金の未納率(最終納付率)をみてみましょう。
【国民年金の最終納付率】
納付率 | |
令和3年度 | 83.1% |
令和2年度 | 80.7% |
令和元年度 | 78.0% |
平成30年度 | 77.2% |
平成29年度 | 76.3% |
平成28年度 | 74.6% |
※厚生労働省の統計をもとに筆者作成
最新の国民年金の令和3年度の最終納付率は83.1%になっており、残りの約17%人が国民年金を未納にしています。
未納に対して色々手を打っていることもあり、少しずつ上昇してきています。
改善傾向にあるものの問題であることは現在も同じです。但し、この未納にしている17%という割合の意味も理解してください。
年金が未納になるのはどんな人?その割合の中身
先ほどの年金未納の統計は国民年金のものですが、公的年金には国民年金や厚生年金があるといいました。
会社員の人などは「国民年金+厚生年金」の2階構造になっています。
国民年金の未納は勤務先がきちんと加入していれば、一般的に会社員などでは考えにくいことです。
理由は簡単で会社員の場合には、給料が振り込まれた段階ですでに年金の掛金(保険料)は給与天引きされているためです。
国民年金だけ自分で加入して掛金を支払うのは、自営業やフリーランス、学生、フリーターなどです。
メディアでも年金未納が問題になっているときに、4割以上の人が未納などと報道していたことがあります。
公的年金加入者の全体の4割ではなく、自営業者などの属性となる第1号被保険者の割合です。
間違ってはいませんが、表現としては正しくもありません。4割も未払いの人がいるから自分も支払わないというのはニュースに振り回されすぎです。
もちろん年金保険料の支払いの免除や猶予を受けている人もいるので、支払っていない人の実数はもっと多いでしょう。統計の実態をみることが大切です。
年金未納者が受ける未納のデメリットとは?
年金未納者のデメリットについて具体的にどんなことがありえるかお話していきましょう。
年金未納だと障害年金・遺族年金がもらえない!?
年金の話をすると老後にもらう将来の年金の話ばかりで、いくら支払っていくら貰えるのかの損得勘定ばかりが語られます。
この記事では分かりやすいように「国民年金」とだけ記載しましたが、正式な名称は「基礎年金」といいます。
基礎年金のうち、老後にもらう年金を「老齢基礎年金」といいます。実際には老後にもらう年金だけではありません。
「遺族基礎年金」「障害基礎年金」など生計維持者が死亡して遺された家族が困らないように、また若くても障害状態になったときにもこれらの年金がもらえます。
年金未納になっていると、こうした状態になったときに遺族・障害などの年金がもらえなくなることがあるのです。
公的年金を含めた社会保障はその仕組みがそもそも預金とは違うことを理解してください。
未納だと将来の年金が大きく減額もしくはもらえない
公的年金の掛金を支払っていない、加入していないと将来もらえる年金が大きく減額されてしまったり、要件を満たさなければそもそももらえません。
生活が厳しいから支払えないという人は、それはそれですべきことがあります。
対応方法は後で解説しますが、ただ何もせず未払いの状態にすると将来年金がもらえない、そして将来も生活が厳しくなるの不のスパイラルになってしまいます。
老後に年金がもらえないとか、納付期間が短くため年金額が少ないというのは本人の責任です。
納付期間には時効があるので後から支払う余裕ができても何十年分も後から納付することはできません。
国民年金保険料は確定申告で社会保険料控除の対象
国民年金の掛金(保険料)は、確定申告の際にその年分の全額が社会保険料控除の対象ですので、実は所得税の計算をする上でメリットがあるのです。
年金未納になっていれば当然のことながら控除を受けることができません。
年金保険料をいくら支払ったら、将来いくらもらえるという損得計算だけでは正しくありません。
社会保険料控除できることで税金が得になっていることも本来は加味すべきなのです。
年金未納が続くと財産が差し押さえされる
何度もいいますが納税と同じように公的年金の加入は義務です。掛金の未払いが続く状態で何も言われずに大丈夫なわけがありません。
未納が続けば請求されますが無視し続ければ強制徴収がはじまり、最終的には財産の差し押さえをされます。
延滞なども取られますから、結局はきちんと支払った方がよいということです。
最終的には財産の差し押さえになりますが、いつ、どのような流れで進むのかみておきましょう。具体的には次のように下に進んでいきます。
- 催告状
- 特別催告状(段階によって色が変わる、青・黄・赤)
- 最終催告状
- 督促状
- 財産の差し押さえ予告通知書
- 財産の差し押さえ
差し押さえを回避するなら最終催告状くらいまでに必ず行動するようにしてください。
督促状までくるようになると延滞金が取られたり、かなり悪質だとみなされます。
差し押さえを回避するために納付猶予や保険料免除制度
支払いはしたいけど生活が苦しくてどうしても難しいのであれば、「ほったらかしにしない」ことが一番大事です。
市役所にある年金課や年金事務所などに必ず相談してください。催告状などがくるようなら連絡先がありますから、そちらに連絡してみてください。
国民年金には、「納付猶予」や「保険料免除制度(全額・3/4・半額・1/4)」があります。なお学生の人には「学生納付特例制度」があるのでこちらを利用してください。
年金未納による差し押さえ条件・基準(年収や期間)
所得300万円以上かつ未納月数7月以上の滞納者を強制徴収の条件です。
これが基準になり上記の流れで催告状・督促状を無視していると最終的に差し押さえということになります。
余談ながら仕事柄高齢の方ともお話します。
若いときにこれぽっち年金もらっても仕方ないと思っていたが、年金をもらう立場になると支給日が楽しみと言う高齢者の方が意外といます。
国民年金の掛金を払う立場ともらう立場の違いでしょうが、もらえる物はもらいたいというのは人の本音でしょう。
年金未納・滞納の影響(住宅ローンなど)
収入の関係や経済的に厳しいという人以外でも、払い損になるかもしれないから年金を未払い・滞納している人もいます。
そうした人が気にするのが、他のことへの影響でしょう。例えば住宅購入する際に住宅ローンの審査に影響があるかどうかなどです。
審査基準は金融機関によって違いますから、一概に絶対に大丈夫もしくは駄目というものではありません。また審査基準も変わっていきます。
住宅ローンの審査も結局は安定した収入があるかこの融資で返済が可能かをみるわけですから。融資する側からすれば未納・滞納はないに越したことはないのです。
税金の滞納はまずアウトでしょうが、年金についても滞納があれば、最終的には差し押さえなどをされます。
これをどう判断するかは金融機関によりますが、差し押さえされるようなことになれば結局支払うことになりますが、まとめて支払うのは大変です。
金融機関によっては年金の状況も確認するでしょうから、きちんとしておいた方がいいのは間違いありません。、
国民年金未納の時効と追納期間、未納分を支払う方法
国民年金未納について無視していれば時効になるのではと考えている人がいるかもしれませんが、一定の条件を満たしていれば未納7ヶ月で強制徴収がはじまります。
300万円以上の所得があればそのうち支払わなくてよくなるということはありません。
逆に未納分について支払う意思があったとしても、何十年分も遡って支払うことはできないのです。後から支払う追納については期間が決められているのです。
過去の年金未納はどこまで追納できる?
国民年金の未納分の支払いについては、その期限から2年間は支払うことができます。
過去に期間限定で「10年後納制度」「5年後納制度」がありましたが、それぞれ2015年9月30日、2018年9月30日に終了しています。
正確な期限を書いておくと、掛金(保険料)の納期限(納付対象月の翌月末)から2年間です。
後から仕事で成功して支払う余裕ができたから、未納の分をすべて支払いたいと思っても時効があるのです。
仮にいまから未納分を支払っても年金額が少ないといったところで、掛金を納付する義務があることに変わりありません。
年金未納の分割納付
経済的な事情で年金未納分を後から追納するのは結構な負担です。未納分については分割しての納付に応じてくれることもあります。
年金未納分を支払う方法
居住地の年金事務所で掛金の納付書を再発行してくれます。実際に未納分を支払うといっても2年分となるとそれなりにまとまった金額になります。
過去2年分すべて支払えないケースもあるでしょうから、上記のように分割納付などについても年金事務所や市役所の年金課などで相談してみてください。
国民年金保険料の納付書があるなら、近くの金融機関やコンビニなどで支払いができます。
日本年金機構 国民年金保険料
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まとめ
年金未納といっても生活が苦しくて払えない人と意図的に払っていない人などさまざまなケースがあります。
特に後者の場合、強制徴収の要件が厳しくなってきているのでそのままほったらかしでいいというわけにはいかなくなっています。
老後2,000万円が必要などということに関連して年金支払うのやめろ!などとネットでいう人もいるようですが、公的年金は社会保障です。
将来的にどのような制度にしていくか、変えていくかは議論が積極的な議論が必要ですが、預金などと単純に比べるものとは違います。
経済的な事情で払えないという人も早めに相談して、納付猶予や免除申請なりの手続きをしておいてください。
個人事業主やフリーランスの人は会社員などのように天引きで強制的に支払うわけではありません。
生活や事業資金などで年金保険料の支払いを後回し・ほったらかしにすればするほど、問題が大きくなり選択肢が少なくなってしまいます。