個人事業主・フリーランス・自営業の確定申告/やり方~経費、必要書類まで
自営業やフリーランスの人は確定申告が必須です。一方で年度末の忙しいときに毎年大変という人も多いでしょう。2024年は消費税が加わる人もいるので尚更です。
■この記事で学べること
【1】個人事業主・フリーランス・自営業の確定申告のやり方
【2】確定申告の経費項目、どこまで経費?
【3】確定申告はいくらから必要?
【4】確定申告のソフトのおすすめは?
【5】確定申告をしないとどうなる?
2024年(令和6年)
個人事業主・フリーランス・自営業が確定申告をする場合のやり方や必要書類、ポイントについてご紹介します。
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この記事のもくじ
個人事業主・フリーランス・自営業の確定申告のやり方・時期、必要書類
個人事業主・フリーランス・自営業について細かい話をすると、例えば個人事業主とフリーランスは定義づけが異なります。
会社などに属さずに自分で仕事をしている人向けの確定申告の話と考えて記事を読み進めてください。
確定申告は1/1~12/31の間の所得について翌年の所定の時期に納税手続きをします。
自分で事業をしている人は、予定納税している人もいるでしょうが、原則として個人事業主に確定申告は必須です。
ちなみに初めてで本当に何にもわからないという人は、税理士に依頼するか、税務署等で書き方などは教えてくれます。
この記事の後半で解説しますが、忙しくてできなかった、忘れて確定申告しなかったは論外です。
後で面倒になるのとお金の面でも損するので注意してください。
確定申告の時期はいつからいつまで?
個人事業主の確定申告は、原則2/16から3/15の間に行います(3/15が土日にかかる場合は、翌平日が期限)。2024年は2/16(金)から3/16(金)です。
ちなみに確定申告書の提出は税務署などへの持ち込みはもちろん郵送でも可能です。
ネットやスマホで完結したいならe-taxという方法もあります。
事前準備は必要ですが、スマホでの確定申告もできるようになっています。税務署は期限ぎりぎりでは混むので早めに手続きすることです。
特にはじめて確定申告する人は尚更です。
ぎりぎりでも税理士に有料で依頼すればいいだろうと考えている人もいるかもしれません。
しかしどの税理士もこの時期は繁忙期で1年で最も忙しい時期です。依頼を受けてくれる税理士はいるでしょうが、手が空いてなければ顧問先などを優先するでしょう。
なお、還付申告になる場合には上記の時期よりも早く手続きすることができます。
確定申告は青色申告と白色申告を選ぶ
青色申告特別控除が利用できると65万円を控除する(差し引く)ことができます。65万円を使わずに経費にしたのと同じですからメリット大です。
特に手続きをしなければ白色申告になりますが、青色申告には特別控除65万円の他に10万円というものもあります。
いまは10万円だと白色申告とほとんど確定申告の手間は変わりません。
他にもメリットが多いので、結論としては青色申告にしておいた方がメリットも多くお得です。
その分確定申告が少し手間がかかります。
但し初めて青色申告する人は、青色申告承認申請書を原則として3/15までに管轄の税務署長宛に提出する必要があります。
起業したばかりの人はその時期などによって締切が変わることがありますが、必ず確認するようにしてください。
青色申告承認申請書の書式や書き方なども含めた青色申告の詳細は、下記の関連記事も参考にしてください。
確定申告の必要書類(提出書類)
最初に必要書類をチェックしておきましょう。
ちなみに個人事業主の確定申告には青色申告と白色申告があるので(詳細は次の項目で解説)分けて記載します。
白色申告
- 確定申告書 様式B + 添付台紙(生命保険料控除証明書や取引先からの源泉徴収票などを貼り付ける)
- 収支内訳書(合計2ページ)
- 添付台紙に貼り付ける生命保険料控除や社会保険料控除などの各種控除証明、源泉徴収票など
青色申告
- 確定申告書 様式B + 添付台紙(生命保険料控除証明書や取引先からの源泉徴収票などを貼り付ける)
- 青色申告決算書(語形4ページ)
- 添付台紙に貼り付ける生命保険料控除や社会保険料控除などの各種控除証明、源泉徴収票な
青色申告は税金の優遇措置がいくつかあるので、少し手間がかかる分だけ必要書類(提出書類)も多くなります。
上記確定申告の必要書類は下記よりダウンロードできます。
またやり方についても確定申告特集などを参考にしてください。
国税庁 令和5年分 確定申告特集
国税庁 確定申告の手引きなど
なお、経費としている金額の領収書ですが、確定申告の際に提出するものではありませんが保管は必要です。
スクラップブックなどに貼って分かるように整理する、クレジットカード払いになっているものは明細書を印刷して分かるようにしておきましょう。
領収書などは税務調査が入れば必要になります。その際経費への参入が否認されることがあれば改めて税金を支払う必要があります。
個人事業主・フリーランス・自営業の確定申告の経費とは?
確定申告の経費項目
個人事業主の確定申告の必要経費といっても業種によって多く参入できる項目があったり、自宅を事務所にしていたり、車を使っている人は家事按分などもあります。
なかなかややっこしいところですが、確定申告の必要書類(収支内訳書「白色申告」、損益計算書「青色申告」)にある経費項目をみていきましょう。
貸倒金が最後ですが、その後に空欄があるので雑費などはそこに記入するか、別途記載するか確定申告のソフトなどを利用すると自動的に入力されてでてきます。
租税公課 | 税金や公共料金 固定資産税、自動車税、印紙税、個人事業税など |
荷造運賃 | 商品、郵便物の配送費等 梱包用の段ボールやガムテープ、 |
水道光熱費 | 事業に必要な水道料金、電気料金等 |
旅費交通費 | 事業にかかる交通費や宿泊費 電車・バス代、タクシー代、出張の宿泊費、 |
通信費 | 事業にかかる通信料金 電話・スマホ料金、インターネット料金、切手・郵便代 |
広告宣伝費 | 商品・サービスの広告や宣伝にかかる費用 チラシ、新聞・雑誌・インタネット広告等 |
接待交際費 | 取引先との接待にかかる飲食費やゴルフプレー代等 |
損害保険料 | 事業にかかる保険料 火災保険・自動車保険・賠償責任保険等 |
修繕費 | 備品などの修理代金 パソコンの修理代や事務所の改修費用 |
消耗品費 | 少額(10万円未満)、耐用年数1年未満の備品の購入費用 文房具・伝票など |
減価償却費 | 固定資産(高額)を一定期間経費にする費用 自動車・コピー機器、パソコン等 |
福利厚生費 | 社内旅行やレクリエーション等 |
給与賃金⑳ | 使用人に支払う給与(配偶者など青色事業専従者になる場合は専従者給与に該当) |
外注工賃㉑ | 外注で業務委託した費用 営業代行費、システム開発費等 |
利子割引料㉒ | 借入金の支払利息 銀行への利息や自動車ローン等 |
地代家賃㉓ | 事務所などの使用料・賃借料 |
貸倒金㉔ | 売上の未収分(売掛金)が回収不能になった場合の経費の適用項目 |
雑費 | ここまでのどの経費項目にも入らないもの参加している会の会費等 |
こんな細かいこと分からないと思ったかもしれませんが、いまは詳細は気にしないで大丈夫です。
こんな風に経費は分かれているんだという程度でOKです。
確定申告でどこまで経費にしていいの?
例えば取引先であるけど友人でもある人と飲みに行った場合、仕事とプライベートの境が曖昧です。
結論としては業種や業態などを考慮して個別具体的に判断されます。
事業にかかる経費項目であれば、経費にすることができるというのが前提ですが、業種によってかかる経費のウエイトは項目ごとに変わってきます。
例えば日々営業する業種で、毎日のように自動車で営業活動する人と事務所の中でデザインの仕事をする人では、ガソリン代やコインパーキングの駐車場代の割合は違います。
同じ経費といっても業種や職種によってかかる割合や個別の事情は異なりますので、実態にあったものを経費算入するということです。
個人事業をしている人が確定申告する場合、家事按分といってプライベートと事業を比率で分けて経費に算入します。
判断できないところは一度は税理士などに依頼して確認してみた方が間違いが少なくなります。
確定申告はいくらから必要(個人事業主・フリーランス)?
確定申告はいくらから必要?
事業主を個人でしている場合、合計所得金額(収入から必要経費を引いた金額)から基礎控除などの所得控除を差し引くとマイナスになる場合は確定申告が不要です。
1年間で稼いだ金額から必要経費を差し引きます。その後所得控除というものがありますが、ここで基礎控除等を差し引くことができます。
つまり最低でも所得が48万円なら基礎控除(48万円)を引くとゼロになるので確定申告が不要というわけです。
所得控除は14種類ありますし、他の控除もあるので使える人はもっと金額は増えます。
ネットの情報などで合計所得金額48万円以下であれば確定申告が不要などの情報もありますが、間違ってはいませんが正確でもありません。
他に控除があればもっと所得があっても引けるものがあるからです(生命保険料控除や社会保険料控除など)。
自分の場合、どのようなものが控除できるかよく確認してください。
基本は個人事業主であれば確定申告は当然必要でするものと考えてください。
確定申告しないとマイナス面も多くなるのです。確定申告しないとどうなるか、どう損するかはこの後解説します。
なお個人事業主というカテゴリーとは違いますが、いわゆる副業で事業をしている人(サラリーマンなど)で給与所得が源泉徴収されていて、副業にかかる所得が20万円以下なら確定申告は不要です。
赤字なら確定申告は不要?
合計所得金額が38万円以下で確定申告が不要なら、赤字であれば当然に確定申告は必要と考えるかもしれません。
先ほど青色申告と白色申告があるとお話しましたが、青色申告では、赤字になった損失を3年間繰り越すことができます。
翌年以降、黒字で事業に大きな儲けがでた場合、この赤字を使って損益通算(相殺)することが可能です。
節税に繋がることでもあるので、しっかり確定申告をしておいてください。
また違う観点ですが、自分の収入を証明する意味でも確定申告はしておくといいでしょう。
起業したばかりだと赤字のこともあるかもしれませんが、こうした損失の繰越を上手く活用することが先々の節税にもなるのです。
また所得の申告がないと国民健康保険などの計算ができません。
住民税などの非課税証明書の発行にも関係してきます。
忙しい、面倒、時間が無いなどの理由で確定申告をしないと、結局それ以上の忙しさや面倒なことになる可能性が高くなります。
個人で事業をするのですから、会計やお金にかかる手続きをきちんとしておきべきでしょう。
確定申告のソフトのおすすめは?
確定申告をする場合、白色申告ではなく青色申告の方がはるかに有利になるのは解説した通りです。
実際に個人事業をしている人が手書きで確定申告するのは面倒なだけです。
税理士に依頼しているなら話は別ですが、ソフトを使っている方が初期設定の手間などはあるものの確定申告の手続きは楽です。
有料のものであれば、どれもある程度のレベルで使えます。
先ほど経費項目について解説しましたが、どの経費になるかよく分からなくても簡単に入力できるようにだいたいなっています。
まずはパソコンなどで作成してみるならe-taxを利用してみるのもありでしょう。ソフトによってはe-taxに連動するものもあります。
もっとも個人事業主の場合にはできれば確定申告にかかる手間は税理士に依頼してその時間は仕事をしてもっと稼ぐというのが理想です。
確定申告を個人事業主がしないとどうなる?
確定申告をしないとどうなる?
納税が義務ですから悪意がなかったにしても申告期限(3/15)までに手続きをしないとと延滞税や無申告加算税など対象になることがあるので注意してください。
悪気はない、忙しくて時間が取れなかった、などと言い訳してもとおりません。
違う見方をすればちょっと怪しげなところからお金を借りるよりよほど国の方が取り立ては厳しいのできちんとしておきましょう。
無申告加算税
無申告加算税は、確定申告書を申告期限までに提出しない場合にかかる税金です。
通常、税金の金額が50万円までは15%、50万円以上の場合は20%を上乗せされます。
税務調査を受ける前に期限後申告(期限を過ぎてからの確定申告)を自主的に行ったなどのケースでは軽減される場合もあります。
仮に確定申告の申告期限を過ぎてしまっても、期限から2週間以内に自主的に申告などした場合、無申告加算されないこともあります。毎年やっていたら駄目でしょうが
どうしても期限内申告できなかった場合でもあきらめずに早急に対処してください。
延滞税
延滞税は確定申告書を納税期限までに完了しない場合に税金が上乗せされます。
決められた納付期限の翌日から納付するまでの日数に対する本税を対象とした利息分が延滞税となります。
このように申告期限内に申告・納税しないと面倒なことが増えるだけです。
まとめ
簿記や会計の基礎知識がない個人事業主の人にとっては、確定申告は面倒なだけかもしれません。
プロではないので細かい税金のことは知る必要はありません。
ただ少し理解できていた方が、事業の運営上ははるかに有利です。これは将来法人化した場合でも同じことです。
また忙しくしてせっかく稼いでも確定申告をしないことで無申告加算税や延滞税を取られたりしては、その稼ぎが無駄になってしまいます。
仮に数年間に渡って個人事業主が確定申告しなければ、税が加算されるだけでなくそれまでの確定申告も必要です。
単に自分も面倒が増えるばかりか余計なお金までとられます。
それなら最初から税理士に有料で頼んでも同じです。自分の事業を維持・発展させていくためにしっかり確定申告してください。
※こちらにご登録頂くと「Mylife Money Online」の記事だけでは読めないお得なお金の情報を定期的にお届けいたします。