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【海外療養費制度】国民健康保険やけんぽ、高額療養費と海外の医療費

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海外での医療事情は国によって様々ですが、日本のように3割ではなく全額自由診療だとかなりの負担です。そんなときのために「海外療養費制度」があります。

【この記事の主な内容とポイント】

  1. 日本の医療事情と海外での医療事情の違い
  2. 海外療養費制度とは?
  3. 海外療養費制度の手続きに必要な準備と請求方法
  4. 海外療養費制度があれば、海外旅行保険は不要?

海外療養費制度とはの基本から利用にあたっての注意点についてファイナンシャルプランナーが解説します。

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日本の医療費と海外の医療費の違い

日本の医療費と海外の医療費・治療費の違い

日本国内の場合、負担した医療費に対して、国民皆保険のもと国民健康保険や協会けんぽなど公的医療保険制度があります。

一部の子どもや高齢者を除くと医療機関の窓口での負担は多くの人は3割負担で済みます。

さらに高額療養費制度もあるため、一定期間金額にかかった医療費は払い戻される仕組みがあります。

そのため日本国内での治療にかかる医療費は意外とかからないのです。

しかし海外では窓口で3割負担というわけにはいきません。そもそも同じ治療をしても日本国内より治療費が高額なこともあります。

急な病気やケガで手術、その後しばらく入院すれば数十万円単位で医療費がかかることも珍しくありません。

治療状況によってはさらに一桁増えることもありえます。

損害保険会社の海外旅行保険が契約金額を上限に実費払いになっているのはこのためです。

例えば一般の医療保険であれば1入院の給付金が1万円などと契約します。契約した金額を定額で支払います。

高額な医療費のかかる国ではこの支払い方法ではあまり役に立ちません。

これに対して海外旅行保険では、例えば治療費用500万円あるいは1,000万円などと限度額を決めて、その範囲で実際の医療費を支払うのです。

医療事情は世界の国々で異なります。外務省の公開情報などを参考にして渡航先の医療事情は事前に確認しておきましょう。

外務省 海外安全ホームページ

海外療養費制度とは?

海外療養費制度とは?

海外療養費制度とは?

海外療養費制度とは、海外旅行や海外赴任などで病気やケガなどで、渡航先の医療機関で治療を受けた際、申請によって後から一部の医療費の払い戻しが受けられる制度です。

国民健康保険や協会けんぽなど人によって加入先はさまざまでしょうが、公的医療保険に加入していれば利用することが可能です。

海外療養費制度の給付範囲

日本国内における保険診療として認められている「医療行為に限定」して給付されます。

美容整形やインプラントなどの日本で保険適用されない医療行為あるいは薬の使用は海外療養費制度の給付対象ではありません。

他にも治療目的の海外渡航による診療も支給対象外です。海外療養費制度は日本の公的医療保険制度の一つです。

日本で実施できない治療についても給付されないので注意してください。

なお、命の危機が迫る患者の渡航移植について条件を満たせば制度の対象となっています。

厚生労働省 臓器移植に係る海外療養費の取扱いについて

海外療養費の給付金額

海外で受けた治療と同じ治療を日本国内でした場合にかかるとした金額から自己負担分を差し引いた金額が海外療養費制度から払い戻されます。

具体的にみてみましょう。

海外療養費 国民健康保険 協会けんぽ

このように必ずしも海外で負担した医療費の全額が、海外療養費制度で払い戻しの対象となるわけではありません。

上記のように海外の医療費が30万円であっても、同じ治療を日本でした場合20万円であればここが基準になります。

さらにそこから3割負担を差し引いた金額が支払われるというわけです。

また、この図と逆に日本で同じ治療をした場合の算定額の方が海外よりも多かった場合、多く払い戻されるわけではありません。

低い金額が基準になるので払い戻しによって儲かるわけではないので気をつけてください。

また海外療養費制度は海外で負担した医療費の一部を払い戻す制度ですので、払い戻しされるまでは自分で立て替えするかたちになります。

日本の公的医療保険制度である高額療養費制度も対象になるものの、あくまで日本国内の治療での金額が基準になる点は変わりません。

その他にも覚えておかなければならないことがあるのです。

海外療養費制度の手続きで渡航前に知っておきたいこと

海外療養費制度の手続きで渡航前に知っておきたいこと

海外療養費制度のことを知らずに海外から帰国後、渡航先で支払った治療費の請求をしようとすると、診療内容や領収書の明細書、領収書の原本などが必要になります。

現地の言葉が堪能な人はまだいいのですが、そうでない人が帰国後にこれらの書類の取り付けを日本でやりとりするのは結構の手間と時間がかかります。

海外療養費制度の請求に必要な書類

できれば渡航前に自分の加入している公的医療保険制度について必要な書類を取り付けしておきたいところです。

国民健康保険については自治体ごとに情報を提供しているので上記のように該当する自治体で検索してみてください。

例えば、東京都豊島区なら●●●のところに豊島区で検索。「豊島区 海外療養費」でこのようにでてきます。

海外療養費制度があれば、海外旅行保険は不要?

海外療養費制度があれば、海外旅行保険は不要?

海外療養費制度があれば、わざわざ海外旅行保険には加入しないでいいかと考える人もいるでしょう。

しかし渡航先の医療事情やその人の経済力や現地の言葉が話せるか、助けて貰える知り合いがいるかなど複数のことを考慮して検討してください。

海外療養費制度でも日本国内の医療費との差が大きいと負担も増えますし、さらに医療費の一時的な立て替えも発生します。

現実的な話、後から払い戻しされる部分があるにしても立て替える金額が高額になると個人的な資金では難しいケースもでてきます。

海外旅行保険の場合、提携病院なら後払いではなくその場で保険で医療費を精算してくれます。

最近では提携病院でないときには病院を探してくれたりもします。

絶対に海外旅行保険に加入しなければならないわけではありません。

しかし医療費の立て替えは難しい、書類のやりとりなどは自分には無理、現地の言葉も話せないし、渡航先に助けて貰える知り合いもいないなら保険加入の必要性は高くなると考えてください。

まとめ

海外療養費制度は手間がかかるのは事実ですが、日本の公的医療保険の一つですから知っておきたい制度です。

海外旅行や赴任などに行く際には、日本にいる間に書類を手配して持参するようにしましょう。

実際に手続きなどをするかどうかは後の話です。

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ライター紹介 ライター一覧

平野 敦之

平野 敦之

ひらの あつし

平野FP事務所代表。(CFP ®・1級FP技能士・宅地建物取引士・2級DCプランナー・住宅ローンアドバイザー)。東京都出身。大学卒業後に証券会社、損害保険会社等で実務を経験した後1998年に独立。

・個人のライフプラン、お金の悩みやお困りごとのサポート。
・法人の経営者のお金の悩み、営業を支援。

ファイナンシャルプランナー歴20年以上。相談業務の他TVやラジオ、新聞、雑誌など直近の10年間で200回以上の取材を受ける。同業であるファイナンシャルプランナーに対しても情報提供の執筆や講演を行う。

講演・セミナー活動も大学での非常勤講師や国民生活センターや行政機関、大手企業や団体など幅広い実績を持つ。総合情報サイトAll Aboutにて2003年よりマネーガイドを務め、15年以上に渡り定期的にマネー情報の発信を実施。その他の媒体も含めてWEB上での執筆記事は600本以上。

「お金の当たり前を、当たり前に。」するために、現場の相談を中心業務と考え活動を続ける。

【著書】いまから始める確定拠出年金投資(自由国民社)http://amzn.to/2csBEsM
    
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