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セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)が改正・延長(2022年)

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スイッチOTC医薬品のセルフメディケーション税制(医療費控除の特例)とは?

セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)とは?


税制以前にOTC医薬品について確認しましょう。従来は医師の判断で使えなかった医薬品を薬局での購入をできるようにしたものがスイッチOTC医薬品です。

ちなみにOTCとは「Over The Counter」の略で、薬局のカウンターで販売される市販薬のことです。

医療薬から市販薬として街の薬局で販売許可されたので、スイッチという意味もありスイッチOTC医薬品と呼ばれます。

セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)とは何かというと、健康診断などを受けてきちんと健康の取り組みをしている人が、特定成分を含む市販薬を買ったときに医療費控除を受けられる制度です。

医療費控除は、年間の医療費の総額が10万円超にならないと使えません。

医療費を削減するためにある程度の軽い症状は市販薬に任せて、医療費控除を受けられるハードルを下げたことでその分のアメも提供しているわけです。

「セルフメディケーション税制」、「医療費控除の特例」、「スイッチOTC薬税制」など色々な呼ばれ方をしています。

セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)の基礎知識

セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)の対象商品とは?


セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)について基本的なところをチェックしていきましょう。

いつからいつまで?

セルフメディケーション税制は、2017年(平成29年)1月1日から2021年(令和3年)12月31日までの期間限定の措置でしたが、5年間延長されました(2026年(令和)8年12月31日)。

対象商品となるもの

厚生労働省の該当サイトを見ると下記のような記載があります。

・対象となる医薬品の薬効の例:かぜ薬、胃腸薬、鼻炎用内服薬、水虫・たむし用薬 、肩こり・腰痛・関節痛の貼付薬
(注)上記薬効の医薬品の全てが対象となるわけではない

 

・具体的な対象医薬品の範囲等は、税制改正法案成立後、関係者と協力して周知を行っていく。

直近のセルフメディケーション税制の対象商品は下記をご覧ください。下記のリンクの中段よりやや下くらいに「2 セルフメディケーション税制対象品目一覧」という項目があります。

セルフメディケーション税制 対象品目一覧 厚生労働省

症状の軽いうちに自分で対処することになりますが、医薬品の購入時にスイッチOTC薬でセルフメディケーション税制にかかるものか確認するといいでしょう。

対象者/予防接種や健康診断などの予防の取り組み

この制度は、健康の維持増進及び疾病の予防への取り組みを行う個人が対象です。取り組みというのは具体的には次のものです。

  • 健康保険組合、市町村国保等が実施する健康診査(人間ドック、各種健診等)
  • 市町村が健康増進事業として行う健康診査(生活保護受給者等を対象とする健康診査)
  • 予防接種(定期接種又はインフルエンザワクチンの予防接種)
  • 勤務先で実施する定期健康診断(事業主健診)
  • 特定健康診査(いわゆるメタボ健診)又は特定保健指導
  • 市町村が実施するがん検診

※注意しておきたいのは、市町村が自治体の予算で住民へのサービスの一環として実施する健康診査は対象外です。

なおこうした予防接種や健康診断を受けたことの証明は、発行される領収書、結果通知表などの提出が必要です。出てきた書類は無くさないようにしてください。

この取り組みをする個人について、自己又は自己と生計を一にする配偶者やその他の親族について特定一般用医薬品等購入費を支払ったケースがセルフメディケーション税制の対象になります。

そもそも所得控除適用のハードルを下げるので、誰でも適用にすると却って負担が増える可能性があります。

不健康な生活習慣があれば、結局完治せずに病院で治療する可能性も高いからです。そのため健康診断や予防接種などを要件に入れているわけです。

確定申告とセルフメディケーション税制(医療費控除の特例)の手続き

セルフメディケーション税制を適用するためには確定申告が必要です。その際に次の書類を提出します。

  • セルフメディケーション税制を適用し計算した確定申告書
  • セルフメディケーション税制の明細書
  • 一定の取組を行ったことを明らかにする書類(提示も可)

セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)と医療費控除の違いと確定申告

セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)と医療費控除


セルフメディケーション税制と医療費控除

セルフメディケーション税制を「医療費控除の特例」と言うからには、もともとの医療費控除との違いを知っておかなければなりません。

医療費控除は1年間(その年の1/1~12/31)の医療費が100,000円(所得金額が2,000,000円未満の人は所得金額の5%)を超えたときに控除対象です。

これに対してセルフメディケーション税制では、特定の成分を含有するOTC医薬品を1年間(その年の1/1~12/31)で12,000円を超えた額が所得控除の対象となります(上限金額は8万8000円)。

従来の医療費控除の100,000円から比べると適用のハードルが下がったわけです。確定申告で所得税及び翌年度の住民税が軽減されます。

但しセルフメディケーション税制は、従来の医療費控除と併用ができませんのでこの点には注意してください。

セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)で税金はどのくらい得?

厚生労働省のWEBサイトに記載されている例で確認してみましょう。

出典:厚生労働省


上記の例は、課税所得400万円で、対象医薬品を年間20,000円購入した場合(生計を一にする配偶者その他の親族の分も含む)です。月1,666円くらいですから、家族全体ではありえる金額です。

この例だと所得税1,600円、住民税800円です。これだけかというのもあるでしょうが、購入金額が20,000円ですから、それを考えればこのくらいです。

あまり手をかけるものではないでしょうから、OTC医薬品の購入時のレシートなどは家計全体できちんと管理しておけば確定申告のときの手間が省けます。

セルフメディケーション税制を受けるために領収書やレシートが必要?

セルフメディケーション税制を受けるときに必要な証明書類にレシートや領収書等があります。これらに求められる記載事項があります。具体的には次の5つです。

  1. 商品名
  2. 金額
  3. 当該商品がセルフメディケーション税制対象商品であること
  4. 販売店名
  5. 購入日

上記3の商品がセルフメディケーション税制対象商品であることの明記につき、キャッシュレジスター発行のレシートでの対応では、次のとおりとすることが必要です。

  • 商品名の前に特定のマークをつけて、当該マークが付いている商品がセルフメディケーション税制対象商品である旨
  • 対象商品のみの合計額を分けて記載

なお、1~5の事項が記載されていれば、キャッシュレジスター発行のレシートか、手書きの領収書であるかは問われないこととなっています。

市販の薬を販売するドラッグストアなどは上記のことを承知で対応すると思われますが、医薬品などの購入の際には気をつけて覚えておきましょう。

これから購入する医薬品のレシートや領収書には、こうしたところが求められます。

すでにセルフメディケーション税制ははじまっていますから、体調を崩して医薬品を買えば2018年の確定申告に関係してきます。

なお医療費控除などにも関連して領収書ではなく明細書でOKとなる見直しがされています。詳細は下記の関連記事をご覧ください。

セルフメディケーション税制の改正と延長

セルフメディケーション税制の改正と延長の動き

2020年12月中旬に発表された「令和3年度 税制改正大綱」の中でセルフメディケーション税制の延長と改正について触れられていましたが、法案は可決成立しました。

期間としては2026年(令和8年)12月31日まで5年間延長となります。

また対象となるスイッチOTC医薬品から、療養の給付に要する費用の適正化の効果が低いと認められるものが除外されます。

他にもスイッチOTC医薬品と同種の効能または効果を有する要指導医薬品又は一般用医薬品(スイッチOTC医薬品を除く。)で、療養の給付に要する費用の適正化の効果が著しく高いと認められるもの(3薬効程度)を対象に加えるとされています。

セルフメディケーション税制の適用になっていた人には朗報ということになります。

まとめ

セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)が改正・延長(2022年)、についていかがでしたか。

住宅ローン控除のように多くの金額が控除されるモノとは違いますし、医療費控除の特例の制度です。

確定申告の直前に慌てないでいいように、しっかり準備してあまり時間と手間をかけないでいいようにしておきましょう。

年間医療費が10万円に届かないから、医療費控除を諦めていた人は、2018年(平成30年)の確定申告に向けてレシートや領収書などきちんとまとめておきましょう。

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ライター紹介 ライター一覧

平野 敦之

平野 敦之

ひらの あつし

平野FP事務所代表。(CFP ®・1級FP技能士・宅地建物取引士・2級DCプランナー・住宅ローンアドバイザー)。東京都出身。大学卒業後に証券会社、損害保険会社等で実務を経験した後1998年に独立。

・個人のライフプラン、お金の悩みやお困りごとのサポート。
・法人の経営者のお金の悩み、営業を支援。

ファイナンシャルプランナー歴20年以上。相談業務の他TVやラジオ、新聞、雑誌など直近の10年間で200回以上の取材を受ける。同業であるファイナンシャルプランナーに対しても情報提供の執筆や講演を行う。

講演・セミナー活動も大学での非常勤講師や国民生活センターや行政機関、大手企業や団体など幅広い実績を持つ。総合情報サイトAll Aboutにて2003年よりマネーガイドを務め、15年以上に渡り定期的にマネー情報の発信を実施。その他の媒体も含めてWEB上での執筆記事は600本以上。

「お金の当たり前を、当たり前に。」するために、現場の相談を中心業務と考え活動を続ける。

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