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火災保険の水漏れ・漏水は老朽化も対象?水漏れ保険の超基本6選

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水漏れ・漏水は火災保険の「水濡れ」補償でカバーしますが、原則として老朽化(経年劣化)による給排水管自体の損害は対象になりません。

■この記事で学べること

【1】水漏れ(漏水)の発生原因と保険

【2】火災保険の「水濡れ」の補償とは?

【3】マンションの水漏れと原因調査費用

【4】加害者に損害賠償しても自分の火災保険を利用できる例

水漏れ・漏水にかかる火災保険の水濡れ補償についてファイナンシャルプランナーが解説します。

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水漏れ・漏水事故の発生原因の3つのパターンと対処する保険(マンション・一戸建て)①

水漏れ・漏水事故の発生原因の3つのパターンと対処する保険(マンション・一戸建て)

水漏れ(もしくは漏水といいます)によって水が漏れてきて、建物内の内装がシミになったり、損害がでたり、あるいは家財に損害がでることがあります。

火災保険などで対応することが可能ですが、実は水漏れの発生原因によって、「誰の」「どんな種類の保険」で対応するかが変わってくるのです。

水漏れ保険などでネット検索して調べる人がいるでしょうが、実際にこうした名称の保険はありません。

自分の火災保険か加害者がいれば相手の損害賠償関連(個人賠償責任補償など)などが適用されます。

一戸建てでももちろん起こる事故ですが、建物の構造上、上下左右に人が住むマンションなどの場合はさらに問題が複雑です。

特に自分の火災保険で対応するケースと自分が被害者で加害者から損害賠償を受けるケースは全く状況や使う保険が違います。

マンションを例に水漏れ事故の発生パターンにどんなものがあるかチェックしてみましょう(一戸建てでも重複しますので参考にしてください)。

水漏れ(漏水)事故の3つのパターン

水漏れの原因は主に次の3つがあります。

  • 給排水管の不備による水漏れ
  • 上階の人による加害事故(洗濯機のホースが外れて階下に漏れたなど)
  • 雨漏りや吹込み

水漏れ発生の原因によって「誰の保険の」「どの補償で」カバーするか(もしくは支払い対象外となるか)変わってくるのです。

給排水管の不備による水漏れ、老朽化(経年劣化)

給排水管などに不備があった結果、室内に水漏れがあった場合は発生原因がマンションの共用部分のものであれば管理組合で加入している保険で対応します。

一戸建てでも同様ですが、給排水管などの不備は設備の老朽化や経年劣化などによって起こります。

特にマンションではよく発生する事故です。構造上、第三者に被害が及びます。

専用住宅の場合は、保険の対象は一般的に建物や家財です。

火災保険の水濡れ(みずぬれ)の補償で老朽化が対象になるかというと、予測不可能な突発的な事故であれば、漏水事故による水濡れとして補償が可能です。

但し、老朽化や経年劣化によって水漏れの原因となった給排水管そのものの修理費用は火災保険では支払いの対象外です。

老朽化や経年劣化などは当たり前に起こるもので事故性がないためです。

マンションなどで原因調査費用などの補償が付帯している場合、この費用は補償されます。

上階の人による加害事故

マンションの上階に住んでいる人が、洗濯機のホースが外れているのを知らずに使用した、お風呂の水が溢れた、色々なケースがあります。

いずれにしても上階に住んでいる人が原因であることがはっきりしている(加害者)場合、その人に被害者の人が損害賠償を求めることになります。

一般的な個人契約であれば、火災保険や自動車保険、傷害保険などに特約でつける個人賠償責任の補償などで対応します。

マンション管理組合の契約では所有者を対象にこの補償を一括契約しているケースもあります。

自分が加害者で保険の未加入でも管理組合の保険を利用できるケースもあるのです。

注意が必要なのは加害者側の所有者の火災保険が賃貸物件の場合です。

部屋を借りている人が加害者ならこの人の賃貸用の火災保険の個人賠償責任の補償になります。

但し所有者である家主(大家)が損害賠償しなければならない場合、賃貸に出している不動産物件には別途施設賠償責任保険などの契約が必要です。

不動産投資などをしている人は注意してください。

仮に賠償関連の保険の契約が何もないなら、加害者が自腹で賠償することになります。

雨漏りや吹込み

建物が老朽化してくると屋上や外壁の防水などの関係で、雨漏りしてくることがあります。

この場合火災保険では対象となりません。

老朽化や経年劣化などによる水漏れの原因である給排水管そのものの修理費用は対象にならないと説明しましたが、これと同じ考え方です。

自然消耗や劣化などこれに類似することが原因の事故は保険では適用対象外です。

但し、台風などによる強風が原因で屋根が破損した結果、水が漏れてくるのであれば、火災保険の「水濡れ」ではなく「風災」でカバーされます。

実際には損害鑑定などがあるでしょうから、その査定の結果として原因が風災によるものと判断されれば問題ありません。

風災の場合は契約内容によって、20万円以上の損害がないと対象にならないことや一定の自己負担額が設定されていることがあるので確認してください。

水漏れ(漏水)の原因の特定が必須

このように水漏れの原因によって請求する保険の種類や相手が変わってきます。

水漏れが発生して保険金の請求という話を火災保険を加入している損害保険会社に連絡しても必ず原因を聞かれます。

応急処置なども必要なので修理業者の手配などは緊急になるでしょうが、まずはこのように原因によって動きが変わることを理解してください。

ちないに上階で火災が発生、消防の放水で階下に水が漏れた場合、失火責任法があるため一般的には責任は発生しません。

水漏れ・漏水事故と火災保険の水濡れの補償とは?②

水漏れ・漏水事故と火災保険の水濡れの補償とは?

水漏れ・漏水事故は、状況によって火災保険あるいは加害者からの損害賠償で補償することをお話しました。

具体的にどのような補償か確認していきましょう。

水漏れ・漏水は火災保険のどこ補償で支払われる?

水濡れや漏水の損害を自分の火災保険に請求する場合、火災保険の「水濡れ」という補償が対象になります。

火災保険には「水災」という補償もありますが、こちらは台風や集中豪雨などによる床上浸水などを対象にするものです。

全く別の補償なので注意してください。

現在の火災保険では、ほとんどの損保で「水濡れ」としています。

一部、「給排水設備の事故等による水濡れ」としているケースもありますが、水濡れという言葉が入っていれば同じものと考えてください。

現在の火災保険

今現在の火災保険は、損害が発生した場合、契約金額あるいは損害額から自己負担分を設定してればそれを差し引いて保険金を支払います。

但し最近の火災保険は補償を選べるので、補償される範囲をよく理解せずに補償を外していないか注意してください。

住宅火災保険・住宅総合保険

このタイプは自由化前からある損保各社の共通商品です。住宅購入した際に超長期の期間で契約している人は加入している可能性があります。

  • 住宅火災保険:水漏れ(漏水)は補償されていません。
  • 住宅総合保険:水漏れ(漏水)は補償されています。但し補償は時価額が基準(一番最後に説明を補足)

県民共済、こくみん共済coop(全労済)等

火災共済を利用している人もいるでしょうが共済でも取り扱いは変わります。

例えば都道府県民共済(新型火災共済)の水漏れに関連する保障は、火災等共済金という項目から支払われます(加害者になった場合の相手への見舞金もあり)。

新型火災共済についての水漏れの保障について、説明書きの中に水漏れという言葉が使われていないので間違いがちですが、火災等という項目に含まれています。

くみん共済coop(全労済)の「住まいる共済」でも水漏れはカバーされています。

しかし共済では内容が統一されているわけではありません。

火災保険と同じようなもの、どこの共済も一緒というような認識はしないようにしてください。

※全労済はその愛称を2019年6月からこくみん共済coopとしています。

賠償責任保険

加害者から被害者に損害賠償する際の保険が、「賠償責任保険」です。法律上、被害者に対して責任があることが条件になります。

  • 個人賠償責任補償特約
  • 施設賠償責任保険 など

一般的には個人賠償責任補償の特約を火災保険や自動車保険などにつけていれば対応可能です。

この保険は日常生活全般の加害事故を補償するものなので重複に注意してください。

いわゆる自転車保険などについているものでも対応できるケースもあります。

事務所や店舗などの場合や賃貸している物件の家主などが加入するのが施設賠償責任保険です(名称が異なることがあります)。

保険会社に建物の用途や利用状況、水漏れ事故に対処するための補償などときちんと説明してアドバイスを受けてください。

火災保険の目的は?

火災保険は目的を分けて加入しますが、専用住宅であれば主に以下の3パターンです。

  • 建物だけ(持ち家)
  • 家財だけ(持ち家あるいは賃貸)
  • 建物と家財(持ち家)

はじめに水漏れの原因の3つのパターンを挙げました。

自分の保険で被害を回復しなければならない場合、建物だけしか火災保険がついていなければ内装などの修理は可能ですが、水漏れで壊れた家電製品などは補償されません。

何に対して火災保険をつけているかチェックしておきましょう。

水漏れ事故で火災保険の対象にならないケースは?

よく誤認されているケースがあるのは、老朽化などによる水漏れが原因のケースです。

こうしたことが原因であっても相手対する損害賠償や自分の火災保険で補償することは可能です。

  • 水漏れを起こして相手に損害賠償しなければならない(自分が加害者)
  • 水漏れの被害にあった(自分が被害者あるいは加害者がいないなど)

上記いずれのケースもあるでしょう。老朽化や劣化などが原因の場合には、水漏れの原因である給排水設備そのものまでは補償されません。

繰り返しになりますがこの点は注意するようにしてください。

マンションでは水漏れ・漏水事故の加害者にも被害者にもなる③

マンションでは水漏れ・漏水事故の加害者にも被害者にもなる

マンションと違って一戸建ては、給排水設備の事故や雨漏りなどが原因になるため第三者は関係してきません。

水漏れ事故でマンションと決定的に異なるところですが、マンションに住んでいる場合には絵画者にも被害者にもなりえるのでそれを踏まえた備えが必要です。

さらに加害者・被害者になるものの事故の後も同じマンションに住んでいるのでまた顔を会わせることもあるでしょう。

交通事故などなら大きなトラブルで揉めに揉めても2度と会わないということが可能でしょうが、マンションでの水漏れ事故ではそうはいきません。

保険でカバーできることには限度もありますが、日頃からのコミュニケーションができているかなども意外と大切なことです。

水漏れ・漏水は原因調査が保険金請求の第一歩④

水漏れ・漏水は原因調査が保険金請求の第一歩
れ・漏水事故では原因の特定が必要とお話しました。そのために必須なのが火災保険にある水漏れにかかる原因調査費用の補償です。

マンション管理組合で共用部分に加入する火災保険にはオプションなどで必ず用意があります。

これを除外して契約を勧めることはまずありえないので、基本的には管理組合の保険にはついているもの、特約ならつけるべきものと理解してください。

個人やビルオーナーが加入する火災保険だとこれらのものがないケースも珍しくありません。

特にビルのオーナーなどの場合、老朽化などで水漏れが起こるのはマンションと変わりません。

調査費用ではありませんが、費用保険金など損害が発生したときにプラスアルファで支払われる補償を厚めにしておくことも考えておきましょう。

水漏れには建物と家財に火災保険を契約、賠償責任保険も必須⑤

水漏れには建物と家財に火災保険を契約、賠償責任保険

火災保険は住宅などの場合、保険をつける対象は建物や家財です。

よく間違える人がいるのですが、建物に火災保険を契約しても、勝手に家財まで含まれているわけではありません。

水漏れが発生すると内装などの張替えが必要になったり、家電製品が壊れることもありえます。

あれもこれも火災保険についていたらきりがありませんが、必要最低限でもいいので検討しておきましょう。

マンションの場合には、火災などより水漏れは数の多い事故です。家財などはある程度契約金額の調整は可能です。

他の災害や事故も考えておかなければなりませんが、水漏れだけで家財がすべて駄目になることはそんなにないのでこうした点も考えてみてください。

加害者から賠償されても自分の火災保険を請求できる例⑥

加害者から賠償されても自分の火災保険を請求できる

時価での損害賠償と新価での補償

水漏れ事故で意外と知られていないポイントが相手(加害者がいる場合)から損害賠償請求されても、自分の火災保険が使えることがあるということです。

物(自分の財産)に損害があって、加害者から損害賠償を受ける場合、基本は時価を基準に賠償金額を計算します。

一般的に物の価格は毎年下がっていくので、現在の時価を基準に損害賠償金額をだします。

いわゆる時価賠償といわれるものです。

最近の火災保険は再調達価額(新価額)を基準に建物や家財の契約をするのが主流です。

新価というのは損害のものを再購入するのに必要な金額です。新品の金額とイメージしてください。

つまり相手から損害賠償を受けたら重複して自分の火災保険から支払わられることはありません。

しかし相手からの時価賠償された金額と自分の火災保険の新品の金額の計算に差額が生じることがあります。

この差額分について自分で契約している火災保険に保険金の請求ができることがあるのです。

被害者側でも自分が契約している損保に連絡する

加害者が全部弁償するので自分の火災保険の損保には連絡しないということはせずに、状況を伝えて事故報告だけはしておいてください。

損保会社でもこの差額については承知していることなので説明してくれるはずです。

まとめ

火災保険の水漏れ・漏水は老朽化も対象?水漏れ保険の超基本6選、についていかがでしたか。

水漏れや漏水は物凄く大きな被害を生むことがあります。

自分が加害者や被害者になったいずれの場合にも対処できるように火災保険やこれに付随する賠償責任保険などの手配をきちんとしておきましょう。

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ライター紹介 ライター一覧

平野 敦之

平野 敦之

ひらの あつし

平野FP事務所代表。(CFP ®・1級FP技能士・宅地建物取引士・2級DCプランナー・住宅ローンアドバイザー)。東京都出身。大学卒業後に証券会社、損害保険会社等で実務を経験した後1998年に独立。

・個人のライフプラン、お金の悩みやお困りごとのサポート。
・法人の経営者のお金の悩み、営業を支援。

ファイナンシャルプランナー歴20年以上。相談業務の他TVやラジオ、新聞、雑誌など直近の10年間で200回以上の取材を受ける。同業であるファイナンシャルプランナーに対しても情報提供の執筆や講演を行う。

講演・セミナー活動も大学での非常勤講師や国民生活センターや行政機関、大手企業や団体など幅広い実績を持つ。総合情報サイトAll Aboutにて2003年よりマネーガイドを務め、15年以上に渡り定期的にマネー情報の発信を実施。その他の媒体も含めてWEB上での執筆記事は600本以上。

「お金の当たり前を、当たり前に。」するために、現場の相談を中心業務と考え活動を続ける。

【著書】いまから始める確定拠出年金投資(自由国民社)http://amzn.to/2csBEsM
    
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