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【生前贈与】税金を非課税にするポイントと必要な注意点

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生前贈与は、財産をなるべく税金を非課税にして家族(配偶者、子、孫、兄弟)に渡すために有効な方法です。何もしなければ先々相続税がかかります。

■この記事で学べること

【1】生前贈与とは?と税金を軽減する6つの非課税制度

【2】生前贈与のメリット、デメリット

【3】生前贈与の活用と注意点

以上がこの記事のポイントですので、これらを中心に生前贈与と税金の非課税について解説をまとめます。

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生前贈与とは?

生前贈与とは?
生前贈与とは?

贈与とは財産(現金や土地、住宅、生命保険など)を配偶者や子、孫、兄弟などに無償で与えることです。自分の生存中に財産を与えるのでこれを生前贈与といいます。

何もしなければ相続の発生によって相続税というかたちで税金がかかります。

その意味では生前贈与は相続対策(遺産分割対策や節税・納税の相続税対策)です。

また何でも無償で財産を与えられるわけではないので、非課税枠を超える金額の贈与には税金(贈与税)がかかります。

財産を贈与された人を「受贈者」といい、生前贈与による税金の負担は財産を与えた人ではなく、与えられた受贈者が負担します。

生前贈与で渡す財産

現金、不動産(住宅(戸建ての家・マンション)、土地)、生命保険などがあります。

生前贈与で財産の贈与を受ける人(受贈者)

財産を渡す贈与者が贈与したい人に渡すのが一般的です。配偶者や子、孫、兄弟姉妹など家族に贈与するのが一般的です。

もちろん家族以外でもお世話になった人、財産を渡したい人がいればその人に生前贈与することも可能です。

生前贈与の2つの税金のかかり方

生前贈与の2つの税金の

生前贈与といっても税金のかかり方には2通りあります。それぞれみていきましょう。

暦年課税(110万円)

贈与を受けた人がその年の1/1~12/31までの1年間で贈与された財産の合計が、110万円を越えた場合に贈与税がかかります。

暦年、つまり暦の上での1年間に行われた贈与に対する税金ということです。

これを「暦年課税」といいます。言い方をかえると贈与税の基礎控除が110万円ということです。

一般的にはこちらがスタンダードで、生前贈与して110万円を超えたところから税金がかかると覚えておきましょう。

相続時精算課税

相続時精算課税を選択することで、60歳以上の親または祖父母から20歳以上の子供か孫への贈与の場合に選択することができます。

相続時精算課税制度なら、贈与された財産の金額が合計して2,500万円まで贈与税がかかりません。

この制度利用して贈与した父母または祖父母が死亡、相続が発生した際の税金(相続税)の計算は、相続財産にこの贈与した財産の価額を加えて計算します。

贈与時に2,500万円までは非課税、その後相続発生時にはその分を加味して考えましょうという制度です。

分かりにくい名称ですがその名のとおり、生前贈与した後に、「相続の時にまとめて精算して税金をかける」制度です。

生前贈与の非課税を使って税金の負担を軽減する6つのポイントとは?

生前贈与の非課税を使って税金の負担を軽減する6つのポイントとは?

ここから生前贈与について非課税となる6つの制度についてみていきます。

贈与税の基礎控除(110万円)

贈与税には1年間の贈与に110万円の基礎控除があります。原則として110万円までの贈与には税金はかかりません。

但し年間110万円までの生前贈与であっても否認されて税金をとられることもあります。

この件の詳細は後で解説しますが、ここでは贈与税の基礎控除110万円を頭に入れておいてください。

ある程度時間をかけて地道の贈与するには、この制度の利用が不可欠です。

国税庁 贈与税がかかる場合

相続時精算課税制度の特例

相続時精算課税の制度とは、原則60歳以上の父母または祖父母から、20歳以上の子又は孫に対しての財産贈与について選択できる贈与税の制度です。

最も重要な点は一度この制度を選ぶと、その選択に係る贈与した者から受けた贈与財産は、その選択をした年分以降は全てこの制度が適用されるのです。

後から110万円の暦年課税へ変更することはできませんから、慎重に検討しなければなりません。

相続時精算課税制度は贈与税の基礎控除110万円との有利な方の選択適用になります。

国税庁 相続時精算課税選択の特例

夫婦間贈与の特例

婚姻期間が20年以上の夫婦間で、居住用不動産またはそれを取得するための資金の贈与について、基礎控除110万円のほかに最高2,000万円まで控除(配偶者控除)できる特例です。

要件は以下の3つです。

  • 夫婦の婚姻期間が20年を過ぎた後の贈与
  • 配偶者から贈与された財産が、自分が住むための国内の居住用不動産、または居住用不動産を取得するための資金
  • 贈与を受けた年の翌年3/15までに、贈与で取得した国内の居住用不動産または贈与を受けた資金で取得した国内の居住用不動産に、贈与を受けた者が実際に住んでその後も引き続き住む見込み

今は夫婦共働き、マイホームの夫婦共有名義も珍しくありませんが、長らく夫婦として生活してきたものには、居住の確保がしやすいようにしてあげますよということです。

配偶者には相続税の負担を軽減する制度はもともとありますが、さらにその後の子供への2次相続では相続税がかかる可能性が高くなります。

配偶者へはこの制度を利用して生前贈与して住まいの確保をしつつ、相続も考慮して子供への財産の配分を考えるということも相続対策には必要です。

夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除

住宅取得資金贈与の特例

2022年1月1日~2023年12月31日までの期間に、両親や祖父母などの直系尊属からの贈与が対象です。

自己の居住の用に供する住宅用の家屋の新築、取得または増改築等に充当するための資金を取得した場合、一定要件を満たせば、非課税限度額までは贈与税が非課税となる制度です。

国税庁 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税

教育資金贈与の特例

この制度は、2023年3月31日までの間に 30歳未満の子供か孫に対して、教育資金として1,500万円まで贈与しても非課税にするものです。

税制改正により2年間延長されました。

国税庁 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税

結婚子育て資金贈与の特例

2023年3月31日までの間(税制改正で2年間延長)、20歳以上50歳未満の子・孫に、結婚資金・出産資金・子育て資金としてまとまったお金を一括贈与する制度です(最高1,000万円)。

期間限定での生前贈与の特例もありますが、これらの制度の特徴を踏まえて上手く利用することが贈与における節税につながります。

国税庁 直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税

生前贈与のメリット・デメリットとは?

生前贈与のメリット・デメリットとは?
生前贈与にもやるだけのメリットもあれば注意しなければならないデメリットもあります。具体的にみていきましょう。

メリット

  • うまく利用すれば節税できるので税金が得
  • 財産を渡したい人に、生前に非課税の範囲などで財産を渡すことができる

デメリット

  • 生前贈与のやり方を間違うと、それ自体が否認されることがある(なお相続より3年遡った贈与は無効)
  • 土地や住宅など不動産の生前贈与には他に税金がかかる(不動産取得税・登録免許税)

一番注意しなければならないのは、生前贈与が否認されることです。

子供や孫名義の銀行口座を作ってお金を年間110万円以内に押さえて入金しても贈与の実態がなく、通帳や銀行印も自分で管理していれば名義貸しと変わりません。

それで贈与と認められるほど甘くはありません。

これが発覚するのが相続のときですから、本人が他界してしまっています。

せっかく財産を遺しても面倒なことになるだけですので、きちんと対策をとりましょう。

生前贈与を税金の心配なく非課税にするために必要な注意点8つ

生前贈与を非課税にするために必要な注意点

生前贈与といっても、実際には財産を渡す人に名義を貸してかたちの上で財産を移しただけとなればしっかり税金は取られます。

ここは軽く考えないようにしてください。とても重要なことです。

  1. 財産を貰った受贈者が、贈与として理解している(財産をあげる、貰うと双方が認識)。
  2. 毎年贈与契約書でかたちを残して贈与したことを証明する(金額は変えた方がよい)。
  3. 公証役場で贈与契約書の確定日付を取る(1件700円)
  4. 財産を貰った受贈者が、贈与税を支払う。
  5. きっちり毎年110万円で税金がかからない金額だけで贈与するのはよくない
  6. もらった人がもらったもの(お金など)を使っていること
  7. 財産を貰った受贈者が金融機関の通帳や印鑑を管理している。
  8. 届出印は自分が通常利用する口座の届出印を同じ

細かいことも書きましたが、これらのいくつかでも頭に入れておきましょう。

ちなみに確定日付というのは、その日付で書類が存在したことが分かるようにするものです。

贈与の有効性を認めてくれるものではありませんが、贈与契約書を後から数年分遡って作成したものではないということは証明できます。

こうすれば絶対に大丈夫という基準などはありません。可能な限り間違いが少ない方法を取ることが大切です。

生前贈与すると遺留分を侵害して減殺請求される!?

生前贈与、遺留分と減殺請求

必ず法定相続人となる配偶者、子や親(子がいない場合)には、最低限の最低限の遺産を受取り権利があります。これが遺留分です。

生前贈与によって一部あるいは全部の相続人の遺留分を受取る権利が侵害されたときに、この権利を請求することを遺留分減殺請求といいます。

前提として、亡くなった人が生前贈与した場合、その財産は相続が開始する前の1年間に生前贈与されたものに限り遺留分減殺請求の対象となるのが原則です。

しかし原則あるところに例外があります。

亡くなった人と財産を贈与された人(受贈者)ともに、遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与をしたとき、相続開始前の1年以内に贈与された財産以外の財産も遺留分減殺請求の対象とされています(民法第1030条)

遺留分そのものは相続人の権利ですから、これを侵害しない範囲で生前贈与を考えた方がいいでしょう。

そんなことは関係ない、あいつには財産を渡したくないとやっても裁判になって、長い時間争うことになります。

まとめ

【生前贈与】税金を非課税にする生前贈与のポイントと絶対に必要な注意点、についていかがでしたか。

制度をきちんと理解していないと、せっかく色々家族のために生前贈与したつもりでも役に立たないことがあります。

  • 全体の財産の把握
  • 相続が発生した際、法定相続人となるのは誰か
  • どのように誰に、いくら、遺したいのか。
  • だから生前贈与をどう使うか。

こんなところをチェックしながら、生前贈与の非課税枠の活用を検討してみてください。

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ライター紹介 ライター一覧

平野 敦之

平野 敦之

ひらの あつし

平野FP事務所代表。(CFP ®・1級FP技能士・宅地建物取引士・2級DCプランナー・住宅ローンアドバイザー)。東京都出身。大学卒業後に証券会社、損害保険会社等で実務を経験した後1998年に独立。

・個人のライフプラン、お金の悩みやお困りごとのサポート。
・法人の経営者のお金の悩み、営業を支援。

ファイナンシャルプランナー歴20年以上。相談業務の他TVやラジオ、新聞、雑誌など直近の10年間で200回以上の取材を受ける。同業であるファイナンシャルプランナーに対しても情報提供の執筆や講演を行う。

講演・セミナー活動も大学での非常勤講師や国民生活センターや行政機関、大手企業や団体など幅広い実績を持つ。総合情報サイトAll Aboutにて2003年よりマネーガイドを務め、15年以上に渡り定期的にマネー情報の発信を実施。その他の媒体も含めてWEB上での執筆記事は600本以上。

「お金の当たり前を、当たり前に。」するために、現場の相談を中心業務と考え活動を続ける。

【著書】いまから始める確定拠出年金投資(自由国民社)http://amzn.to/2csBEsM
    
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