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中小企業の役員借入金の返済は経費?~デメリットと債務免除

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中小企業において法人と経営者個人はお金の面で車の両輪です。法人と個人のお金は別のものですが、中小企業ではある意味一体でもあるからです。

例えば会社の業績が落ち込み資金繰りが悪化した場合、社長や役員個人から資金を会社に用立てることは珍しくありません(役員借入金)。

一方で、役員借入金を返済せずにずっとそのままにしておくと後で問題が発生する可能性があるのです。

■この記事で学べること

【1】役員借入金とは?そのデメリットと役員貸付金との違い

【2】役員借入金の返済は経費にできない

【3】役員借入金を減らす方法・債務免除

中小企業における役員借入金の返済とそのポイントについて解説します。

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中小企業の役員借入金とは?注意点やデメリット

中小企業の役員借入金とは?注意点やデメリット

役員借入金は、社長や役員が法人に対して貸し付けているお金のことをいいます。

資金繰りなどの関係で社長や役員個人が法人に資金を貸すことは中小企業ではよくあることです。

あくまで役員個人が貸付をするため、それが営利目的でなくても問題なく、無利子(利息なし)での貸借が認められているのも特長です。

個人からのお金のため金額にもよりますが、銀行など金融機関に融資を依頼するよりもさまざまな負担が少なく法人の資金調達が可能です。

なお、この記事ではテーマに入れていませんが、「役員貸付金」とは、役員借入金とは逆に会社が役員個人に資金を貸し付けることをいいます。

役員借入金のデメリット

特に零細企業や一人社長規模の会社だと、役員借入金を使って業績の悪化や資金繰りが問題の際に乗り切ることは比較的よくあることです。

一方で役員報酬は定時同額が原則です。

一時的に業績が悪化したり、大儲けしたのである月だけ一時的に役員報酬を引き下げたり、引き上げたりすることはできません。

例えば役員報酬が月に80万円だったとします。

会社の資金繰りが苦しく期首に決めた役員報酬が支払えないので、役員個人が役員借入金で50万円を入金、それを役員報酬として50万円その役員に支払うということがあります。

金融機関から借りてきるわけではないので、利息を取らなくても問題ありませんが、これを続けていると後々問題となりかねません。

相続が発生したとき

役員借入金は、役員が個人で会社に貸したお金、つまり債権、借金です。

もしその役員が死亡した場合、会社に貸したお金(債権)は相続財産として相続税の対象になります。

会社にこの債権を返済する余力がない場合、亡くなった役員の配偶者や子からすれば、相続財産が増えるのに現金化できるものがないという困った状態になります。

会社の資金繰りが厳しいときなど困ったその時々では、役員借入金は助けになりますが、ずっとほったらかしでは駄目なのです。

仮に1回ずつの借入が大きな金額でなくても何度も、そして何年も繰り返すと大きな金額になります。

金融機関への印象

役員個人で会社に資金を貸しているとはいえ、役員借入金は会計上は負債です。

役員個人からの借入金が多いことは金融機関の印象がいいということはありません。

会社と個人のお金ががごちゃまぜに管理していればどんぶり勘定だと言っているようなものです。

いずれにしても将来的に役員借入金を返済する、減らすことを考えていかなければなりません。

役員借入金の返済は経費にできない

役員借入金の返済は経費にできない

この小見出しのとおりの話ですが、会社が役員個人から借りたお金(役員借入金)は返済のときに経費にすることができません。

会社の本業で売上が上がればそれに対して法人税などが課税されます。

それに対して役員借入金(に限らず借入金全般)は、あくまで借入ですからこれに対して法人税等がかかることはありません。

借りた段階でこのような処理になるため、返済の段階つまり役員借入金の返済は経費にならないのです。

返済すれば現金は減る、しかし経費にならないので税金はかかります。

資金繰りで考えると理想は役員借入金が発生したその同じ期で返済できれば理想です。

役員借入金を返済は経費にならないため、これが増えてしまうとまとめて返済したときに今後は資金繰りが厳しくなりかねません。

役員借入金を減らす方法・債務免除

役員借入金を減らす方法・債務免除

このように法人の資金繰りの悪化などに対して役員借入金は有効です。

その一方で役員借入金に頼りすぎた事業運営を行っていると後で大きな問題が発生します。

仮に月30万円の役員借入金を毎月でないにしても資金繰りが厳しい都度、通算で12回(1年分)行ったら累積で360万円、36回(3年分)行ったら1080万円です。

小さな規模の会社では何とか返済するという話でもなくなります。

長期的であっても役員借入金を減らしていくことを考えてください。

最後に役員借入金を減らす方法について具体的にみていきましょう。いくつかあるので項目に分けて確認していきます。

役員借入金の債務免除

返済される可能性が低い役員借入金などを、役員は債権放棄をすることができます。

役員個人として会社に貸したお金は諦めるということです。これが債務免除です。

但し注意点もあります。会社の会計上は借入金(債務)を免除されたことになりますから、この分は 債務免除益として認識されて課税対象になります。

会社の業績が悪く大赤字などの場合にはいいのですが、債務免除する場合にはタイミングも重要です。

役員報酬減額

役員報酬を減額してその分のいくらかを役員借入金の返済に充てていく方法です。

すでに解説したように役員借入金の返済は経費になりません。

役員報酬を減額する金額などをうまく調整しないと資金繰りが厳しくなるので注意が必要です。

いずれにしても少しずつでも役員借入金を減らしていく、そして最終的には消すことを考えてください。

まとめ

役員借入金は有用な面があるものの、そのデメリットや将来的に生じる可能性のある問題を考慮して利用することが大切です。

役員借入金という方法もあるでしょうが、資産性のある法人の生命保険契約から契約者貸付を受けることや経営セーフティ共済でも融資は可能です。

下記にこれらの関連記事がありますが、いずれも支払った保険料や掛金の一定範囲の中で融資を行うので金融機関の融資より借りやすいのが特長です。

役員借入金だけでなく該当する契約があれば、こうした制度の利用も検討してみてください。

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ライター紹介 ライター一覧

平野 敦之

平野 敦之

ひらの あつし

平野FP事務所代表。(CFP ®・1級FP技能士・宅地建物取引士・2級DCプランナー・住宅ローンアドバイザー)。東京都出身。大学卒業後に証券会社、損害保険会社等で実務を経験した後1998年に独立。

・個人のライフプラン、お金の悩みやお困りごとのサポート。
・法人の経営者のお金の悩み、営業を支援。

ファイナンシャルプランナー歴20年以上。相談業務の他TVやラジオ、新聞、雑誌など直近の10年間で200回以上の取材を受ける。同業であるファイナンシャルプランナーに対しても情報提供の執筆や講演を行う。

講演・セミナー活動も大学での非常勤講師や国民生活センターや行政機関、大手企業や団体など幅広い実績を持つ。総合情報サイトAll Aboutにて2003年よりマネーガイドを務め、15年以上に渡り定期的にマネー情報の発信を実施。その他の媒体も含めてWEB上での執筆記事は600本以上。

「お金の当たり前を、当たり前に。」するために、現場の相談を中心業務と考え活動を続ける。

【著書】いまから始める確定拠出年金投資(自由国民社)http://amzn.to/2csBEsM
    
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